子どもオンブズ・コラム平成29年4月号　就任のあいさつ

はじめまして（大倉オンブズパーソン）

　この4月からオンブズパーソンになりました大倉得史（おおくらとくし）と申します。

　ふだんは大学で、子どもがどうやって成長していくのか、周りの人たちがどんなふうに子どもにかかわっていけば良いのかといったことについて研究したり、教えたりしています。保育にも関心があって、今の保育制度改革が子どもや保護者の生活にどんな影響を与えているかなども調査しています。ほかにも臨床心理士として大学の相談室でカウンセリングを担当したり、裁判で心理学者の立場から意見書を書いたりといった仕事をしてきました。ともかく「人間」に関することなら、なにかと興味がわいてしまう性分です。

　小学2年生の息子と4歳の娘の父親でもありますが、最近思うのは、子どもにとって良い環境を用意するのがなかなか難しい世の中だなということです。例えば、小学校でいじめを受けたことがある児童の割合が約50％にものぼるといった調査結果を知ると、うちの子は大丈夫だろうかと心配になります。休みのときには、できれば外で思いきり体を動かして遊んでほしいと思っていますが、それができる場所は多くありません。車や自転車の多さ、防犯上のことを考えると、子どもだけで出歩かせるのは不安でもあります。
　さらに、もう少し大きくなったら、きっと「スマートフォンがほしい」「友だちはみんな持っている」などと言い出すのでしょう。持たせないで仲間外れにされるのもかわいそうですが、かといって四六時中友だちとメッセージを交換していなければならないような状況にもさせたくありません。

　こんなふうに大人が心配して子どもを管理するほどに、かえって子どもの健やかな育ちを阻害してしまうのではないかという思いもあります。そうした思いと、実際に心配せざるを得ない現実とのはざまで、難しい判断を迫られることが多々あります。そして、そうした状況の中で、大人以上に神経をすり減らしている子ども、しんどい思いをしている子どもがたくさんいるのだと思います。

　オンブズパーソンとして、何よりも子どもの人権を第一に考えて、子どもを取り巻く環境が少しでも良いものになるよう、微力を尽くしていく所存です。どうかよろしくお願いいたします。

執筆：オンブズパーソン・大倉得史（おおくらとくし）

はじめまして（鈴木相談員）

　川西市の皆様、はじめまして。4月から新しく相談員となりました鈴木伸尚（すずきのぶひさ）です。

　私は小さい時からよそ見が多い子どもでした。乗り物に乗るとだいたい遠くの景色をぼんやりと見ていては親に不思議がられていたのを覚えています。それは大人になった今も同じで、これまで何度か大きな引っ越しをしてきましたが、その折々で新しく来た土地をふらふらと、あちらを見てはこちらを見てとそぞろに歩く習慣があります。
　「この道を来ると国道につながるのか」「あの大きなビルは何だろう？」「あ、桜の花がきれいだな」と街の雰囲気を歩きながら体に馴染ませていくのが好きで、旅行の時も無理のない範囲でそうした寄り道の時間を大事にしています。
　とはいえ気の向くままの散策がそのまま「迷子」につながることもしばしばです。そこで迷った時、困った時は近くにいる人に声をかけ、道を聞いています。学校帰りの学生さんであったり、犬の散歩をされている方やランニングをされている方であったり、買い物袋を自転車の前かごにのせて信号が青に変わるのを待たれている方であったりと、人も状況も様々ですが、そこでの一言二言の会話で自然と打ち解けた気分を共有できた時、ひとつ、その街に迎え入れられたようなホッとした気持ちになります。

　このたび、川西市という街と子どもの人権オンブズパーソンの相談員としてご縁をもつことができました。人とのつながりを大事に広げながら、子どもの声に耳をかたむけて、「子どもにとって、いちばんいいこと」を子どもとともに考えるという職務にじっくりと向き合えたらと思っています。ニックネームは「すーくん」です。お見かけされたときはどうぞ気軽にお声がけください。

執筆：相談員・鈴木伸尚（すーくん）