子どもオンブズ・コラム平成26年11月号 「『地方自治と子ども施策』全国自治体シンポジウム2014in青森」に出席して(村上相談員)

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ページ番号1001704  更新日 平成31年1月25日 印刷 

「『地方自治と子ども施策』全国自治体シンポジウム2014in青森」に出席して

全体会の写真
写真:全体会の様子

 「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムは、全国の自治体関係者・研究者・専門職が一堂に会し、地方自治における子ども施策のあり方やまちづくりの展望を見出すことを目的として、2002年に川西市ではじめて開催されたのを皮切りに、毎年開催されています。川西市子どもの人権オンブズパーソンも、このシンポジウムを貴重な研修の機会と位置づけ、毎年出席しています。2014年度のシンポジウムは、10月11日(土曜日)・12日(日曜日)に青森県青森市で開催され、川西市からは勝井映子オンブズパーソン(弁護士)と私の二人が出席しました。

 1日目の『全体会』では、「子どもにやさしいまちをめざして―いのち・暮らし・あそび・学び―」をテーマに、川崎市子ども夢パーク所長の西野博之さんのお話を聞きました。西野さんからは、子ども施策や子どもにやさしいまちづくりを推進する際に、子どもをめぐる厳しい現実のなかで、子どもにどのように向き合っていくことが必要かなどについて、子どもの居場所づくり等に取り組んできた経験や実践例のお話がありました。その後、青森市、世田谷区から各自治体での特色ある子ども・若者施策についての報告が行われました。
 西野さんの講演を聞いていると、子どもオンブズの活動を通して出会った子どもたちの顔が目に浮かび、涙が止まりませんでした。西野さんの「子どもたちを規制の制度や仕組みにむりやり合わせるのではなく、子どもの「いのち」のほうへ制度や仕組みを引き寄せる取り組みを続けていきたい」という言葉が特に印象深く、胸に突き刺さりました。
 世田谷区が若者支援・若者施策に本格的に着手するために首長を本部長とする「若者支援推進本部」を設置した際のお話のなかで、以前はバラバラだった子ども・若者支援の事業等を統括し、切れ目のない支援を実現するために、平成26年度から元来の「子ども部」から「子ども・若者部」に名称を変更し、組織改正をされたという同部長の熱意のこもったお話がとても印象的でした。また、児童館の中高生世代の活動支援として、児童館の開設時間を1時間延長して、中高生の活動支援機能を拡充し、青少年交流センターとの連携を強化されているというお話もとてもうらやましく、印象的でした。


子どもの居場所分科会の写真
写真:「子どもの居場所」分科会の様子

 2日目はテーマの異なる8つの『分科会』が開催されました。
 私たちは『子どもの居場所』分科会に参加し、「子ども参加の居場所づくりと自由な遊びの権利保障」をテーマに、他自治体での取り組みや居場所づくりの現代的課題等について学び、また会場も一体となって話し合いをしました。
 私が特に印象に残り、「行ってみたいなぁ」「子どもたちに紹介したい!」と羨望の眼差しを向けたのが、東京都杉並区が平成9年9月に開設した杉並区児童青少年センター『ゆう杉並』です。通称『ゆう杉』は、中高生を主な対象とした大型の児童館です。『ゆう杉』の興味深い活動の一部を紹介すると、職員企画による、誰でも参加できる活動「定例活動」と、固定メンバーが1年間を通じて活動する「ゆう杉の部活」と、中高生の自主的な活動を支援するために導入された「自主企画実現システム」、そして利用者の代表として中高生が運営に参画していく「中・高生運営委員会」があります。

  • 「定例活動」は、バスケやバドミントン、クライミング、クッキング、楽器やボーカルレッスンなど、メニューが盛りだくさん!
  • 「ゆう杉の部活」は、ライブ活動等を目指して活動するボーカルチームや、内外的な公演を目指す演劇チーム、アニメ好きな中高生が集い、自主企画を実現するための『アニメ実行委員会』、人気のTVゲームやボードゲームなど、さまざまなゲームを通して交流を深めたり、館内のゲームソフト購入の選定の一端を担う『わい2ゲー専FC』など。
  • 「自主企画実現システム」では、中高生が「やってみたいなぁ」と思ったものをカタチにするため、自ら企画書を作成し、事前準備から、当日の打ち合わせや会場・機材・講師の交渉等を行う。平成25年度は、バンドライブや、ダンスライブ、バドミントン講習会に、ゲーム大会、鉄道走行会など、16件の自主企画事業が実施されたとのこと。すごい!
  • 「中・高生運営委員会」の委員は、毎年20名程度公募で募集される。6月に任期がスタートした際に、1泊2日の合宿で、年間の方針と部会の活動内容等を検討・決定し、その後は、委員は部会に分かれて活動を開始し、月1回の定例会等を開催する。また、例年12月にゆう杉並の文化祭「アクティブフェスタ」を開催し、委員会と利用者が一丸となって、イベントを創り上げていく。年明けには、利用者からの声をまとめて、ゆう杉並の運営についての要望書を作成し、児童青少年課長にプレゼンを行っている。

 活動の一部を聞くだけでも、私はウキウキした気持ちになり、とても楽しくお話を聞かせていただきました。特に印象に残ったことは、『ゆう杉並』が委員会もしくは職員主催で、年に数回、利用者懇談会を開催していて、スポーツ等の定例活動への要望や、楽器・CD・TVゲームソフトの購入などについて検討しているとのことでしたが、その際、委員会と職員の決定権はフィフティフィフティと話されていたことです。最高にワクワクした瞬間でした。

 分科会のまとめで、色々と語られたのは、地域と中高生を繋いでいくことの大切さや、子どもの声をどう拾い上げていくのかということ。子どもの居場所活動に従事する際、子ども・若者が、一緒にまちをつくっていく存在であるとの認識でいること、大人の意識の変化の大切さがあげられました。「居場所」をつくる際に、大切なこととしては、「今、子ども達がどこにいるのかを丁寧にみていくこと。そして、今の居場所を奪わないということ」。「居場所が少ないと言う語りを丁寧に拾い上げていくこと」。そして、「地域のどの子どもの居場所が奪われているのかを丁寧にみること」だとのお話も聞かれました。また面白かったのは、子どもセンターをつくるために、現場を一つひとつ見て回り、ネットワークを作った石巻市の子育て支援課職員の方が、「『民間でつくるものはおもしろいが、行政でつくるものはおもしろくない』とよく言われるので、行政が民間の力を借りながらつくっていく体制づくりに重点を置いた」と話されていたこと。また、子育て支援とは、地域の子どもは地域で守るということであり、子ども施策が地域をつくり、誰にもやさしいまちづくりに繋がるのだと話されていたのが印象的でした。

 この二日間を通し、様々な立場の方にお出会いし、お話をさせていただきました。とにかく印象的だったのは、子ども施策に関わる自治体職員の方をはじめ皆さんの熱意です。お出会いしたり、お話を聞かせていただいた、お一人おひとりに、感動と勇気をいただきました。そして、強く思ったことは、ぜひ子ども支援・子ども施策に関わる人、特に自治体職員の皆さんに参加していただきたいということです。きっと、たくさんのアイディアや、学びと気づき、また、元気をもらえると思います。
 とにかくみんな熱くて、そして楽しく学びの多い、貴重なシンポジウム参加となりました。今回の学びを、オンブズチームはじめ、川西市の関係所管の皆さんとぜひシェアさせていただき、そして日々の取り組みにしっかりと活かしていきたいと、改めて考えさせられた二日間でした。

執筆:相談員・村上裕子(む~やん)

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