子ども・オンブズコラム平成25年4月15日号
ページ番号1001721 更新日 平成30年3月8日 印刷
ラグビーの監督はなぜ客席にいるのか

就任後早くも2年が経過し、この3月で任期満了となりました。これまでたくさんのご声援ありがとうとございました。後任のオンブズパーソンにも変わらぬご支援をよろしくお願いします。
最後にもう一度スポーツの話をして締めたいと思います。
私は学生時代にラグビーをしており、五十歳を過ぎた今でもたまに試合に出ています。
ラグビーはどうして監督が客席で観戦しているのか、どうしてベンチに入って指示しないのかという質問をよく受けます。一球ごとに見送りやバントなどを指示する野球と対照的だからでしょう。
ラグビー(その前身のフットボール)は、19世紀後半、英国のパブリックスクールが教育のツールとして取り入れたことで大きく発展しました。エネルギーあふれる若者たちをスポーツを通じて身体的・人格的に成長させる、これをアスレティシズムと言います。ちなみにサッカーも同じ時期にフットボールから生まれましたが、ラグビーは旧英連邦を中心に、サッカーは全世界に広まったため、それぞれ違った進化を遂げました。
競技中、プレーヤーはさまざまな判断を迫られます。その一つ一つがプレーヤーとしてまた人間として成長していくきっかけになるかもしれません。この考え方が、試合はプレーヤーが自分で作るもの、監督は試合がはじまったら一切口出ししないという伝統につながっていったものと思います。ちなみに、当時は審判すらおらず、試合中キャプテン同士が話し合って解決していたこともありました。
しかし、アマチュアリズムの最後の砦と言われたラグビーもプロ化されて18年になります。スポーツの商業化は勝利至上主義に向かいます。最近は、客席からインカム(無線)で指示したり、ベンチに入る監督も増えています。
プレーヤーは指導者のコマではない。自由に判断する独立した存在である。最近のスポーツをめぐるいろいろな問題を見るにつけ、その思いをますます強くするものです。
執筆:前オンブズパーソン・宮島繁成・弁護士
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