子どもオンブズ・コラム令和4年3月号 退任のごあいさつ

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1015188  更新日 令和4年4月20日 印刷 

退任のごあいさつ

堀家由妃代
堀家代表オンブズパーソンイラスト

 6年間、大変お世話になりました。6年間で果たして私はオンブズパーソンになれたのか、内省しているところです。
 ある人類学者が提唱した学習論のひとつに「正統的周辺参加論」という考え方があります。正統的周辺参加論では、学習を「人が実践の共同体に参加することによってその共同体の成員としてのアイデンティティを形成すること」と考えます。私は、保育の場や学校での子どもの学びや育ちはこの正統的周辺参加論で解釈できるものであると考えています。保育・教育の場だけでなく、私たちの生活世界での学習の多くについてもこの理論で説明可能です。例えば、新しいスマホを手に入れたとき、多くの人は取扱説明書を見てから操作を始めるのではなく、まずはそのスマホを「いじってみる(=とりあえずその営みに参加する)」ことから始めるのではないでしょうか。反対に、取扱説明書は説明が詳しすぎて、自分の目的にかなった操作にたどり着くまでに大変な労力がかかってしまうことがあります(そのため、最近では多くの家電製品などに、取扱説明書とは別に最低限の説明が記載されたスタートガイドが付いています)。たくさんの実践現場に触れる機会を得て、子どもたちの姿を見ていますと、学びとは取扱説明書のようにスモールステップで順序だててなされるのではなく、そこにあるモノや人との対話といった「状況に埋め込まれている」ということを、より実感を伴って理解できます。
 スマホとオンブズの仕事を同じにしてはいけないかもしれませんが、オンブズパーソンになるという営みも状況に埋め込まれていると思い、2016年4月よりこの仕事をスタートさせました。もちろん、自分なりに「オンブズパーソンになる」べく、資料を収集し勉強もしましたが、やはり週に1回の研究協議での相談員さんの発話や他のオンブズパーソンの様子、研究協議そのものの雰囲気、そして、案件で出会う子どもや保護者、学校の先生方や学校現場そのものからたくさんのことを学び、味わうことでこの仕事を続けられたと思っています。オンブズパーソンという共同体のなかで、私という新参者は古参の相談員さんやオンブズ、事案との対話のなかで、少しずつ「オンブズパーソンらしきもの」を獲得していったように思います。そうして生まれた私なりのオンブズパーソンらしさは、私の肉体を離れてこの共同体に薄く引き伸ばされ、残っていくと思います。これは、この共同体がいままでオンブズに関わったすべての人で構成されていることを感じ続けた6年間だったから言えることですが、だからこそ、私は本当にこの職責を全うできたのかとても心配になります。
 6年間で積み残したことがたくさんあります。オンブズパーソンとしての仕事はここでおしまいになりますが、こちらで獲得したオンブズマインドを大切に、これからは周辺的な立場からオンブズを応援できるよう力を尽くしたいと考えます。ありがとうございました。

                    執筆 代表オンブズパーソン 堀家由妃代

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

質問1:このページは分かりやすかったですか?
質問2:質問1で(2)(3)と回答されたかたは、理由をお聞かせください。(複数回答可)


 (注)個人情報・返信を要する内容は記入しないでください。
所管課への問い合わせについては下の「このページに関するお問い合わせ」へ。

このページに関するお問い合わせ

子どもの人権オンブズパーソン事務局

〒666-8501 川西市中央町12番1号 市役所5階
電話:072-740-1235 ファクス:072-740-1233
子どもの人権オンブズパーソン事務局へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。