子どもオンブズ・コラム平成30年4月号 あなたの悩みや困りごとは、あなただけのものではない

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ページ番号1006854  更新日 平成30年4月24日 印刷 

あなたの悩みや困りごとは、あなただけのものではない

今井相談員の似顔絵
  似顔絵:今井相談員

 はじめまして。4月から川西市子どもの人権オンブズパーソンの相談員を始めました。オンブズパーソンには以前から関心がありましたが、具体的な取り組みや川西市の子どもたちの状況については知らなかったので、今必死に勉強しています。子どもにとって一番いいことを一緒に考え、子どもに寄り添える相談員になれたらと思っています。
 わたしは、以前、在日外国人支援の仕事をしていました。自己紹介ということで、わたしがかかわってきた、外国につながりをもつ子どもたちのことを紹介したいと思います。
 日本には昔からさまざまな国の出身の人や、外国につながりをもつ人が住んでいます。最近は観光客を多く見かけますが、それだけでなく、仕事や勉強のためやって来た人、国際結婚でやって来た人などもいます。大人だけでなく、親と一緒にやって来た子ども、親は外国人で自分は日本生まれ日本育ちという子どももいます。川西市の場合、総人口にしめる在留外国人の割合は0.75%(2016年末時点)で、日本全体の1.8%と比べると少ないといえます。しかし、数字には現れない外国につながる人たちはたくさんいると思うので、案外身近なところで出会っているかもしれません。
 外国につながりをもつ子どもたちの困りごとにはいろいろあります。たとえば、次のような場面を想像してみてください。親の都合で、ある日突然、言葉も文化もまったく違う国に行くことになり、いきなりその国の学校に通うことになったら、どんな気持ちになりますか。言葉がわからない、知っている友だちがいない、学校のルールが違うなど、わからないことだらけで不安ではないでしょうか。勉強が好きだった人も、言葉がわからず苦手になったり、友だちと一緒に遊ぶのが好きだった人も、臆病になって家にこもりがちになるかもしれません。自分の不安や悩みを、親にも学校の先生にも相談できず、一人で抱え込んでしまうこともあるでしょう。
 ある子が「家ではフィリピン人やけど、学校では日本人やねん」と話してくれたことがありました。その子は、フィリピン出身の母親と日本人の父親との間に生まれ、2歳くらいまでをフィリピンで過ごし、それ以降はずっと日本に住んでいます。ふだんは日本語を話し、家に帰れば母親とはフィリピンの言葉で会話をします。「日本」だけではない、「フィリピン」につながる自分を大事にしたいと思っていますが、その大事な部分を学校では隠していると話してくれました。母親がフィリピン人であることをからかわれないか、人と違うことでいじめられたりしないか、不安がっているように見えました。
 わたしはそうした子どもたちの居場所づくりの活動にかかわってきました。悩みを聴いてくれる人や自分と似たような経験をした人たちと出会うことで、子どもたちは少しずつ笑顔になり、やがて想像もしなかった力を発揮します。たとえば、悩みをノートに書きためるうちに、それらを詩にしてラップで歌うようになったり、言葉にするのは苦手でもダンスという表現方法を知り、人前で堂々と踊るようになったり、苦労したことを作文にして人前で話す決心をしたり…。そんな子どもたちから、いつもわたしは元気をもらってきました。
 外国につながりをもつ子どもに限らず、多くの子どもが「人と違う」ことを恐れ、不安に思う経験をしています。しかし、そもそも人はみな違います。体の大きさや形、肌や髪の色など、容姿においてもそれぞれに違います。得意なこと、苦手なことなど、目に見えるものもあれば、大切にしていること、好きになる人、性自認など、目に見えないものもあります。問題は、「違い」があることではなく、それらがからかいやいじめの対象になることです。「違い」が尊重されない環境や社会にも問題があり、それらを変えていくことが大事です。
 「あなたの悩みや困りごとは、あなただけのものではない」ということを、わたしは子どもたちから学びました。一人で抱え込んでいると、「こんな悩みは自分だけじゃないだろうか」と思いがちです。しかし、同じような友だちと出会い、悩みを話すことで、解決策が見つかることがあります。また、子どもが抱えている悩みは、子どもだけの問題というより、大人や社会の問題でもあります。子どもが安心して生活できるよう、わたし自身、社会をよりよくしようとする大人のひとりでありたいと思っています。
 川西市初心者のわたしですが、いろいろ教えていただきながら、たくさん学びたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

相談員:今井貴代子(きよぽん)
 

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