子どもオンブズ・コラム 令和4年3月号 退職のあいさつ
ページ番号1015178 更新日 令和4年4月20日 印刷
退職のあいさつ

オンブズの相談員として活動を続ける中で一番実感したことは、自分の思っていること、感じていることを言葉にすることは、子どもにとってそう簡単な話ではないということです。それは、ほんとうのことを言ってしまうと周囲のおとなを怒らせたり、機嫌を悪くさせたりすること、あるいは、こう言った方が評価されるとか、よい関係を保てるなどといったことを学んでいるからです。相談に来た子どもに限らず、コロナに関する調査でもそうした傾向がみられました。おとな達からコロナを理由に課せられた制限やルールに対して、不満や反発の声はそれほどなく、むしろ、「コロナだから仕方がない」と自分を納得させていたり、大変そうなおとなを気遣ったりするような声が多くありました。このように、子ども達は、こちらが思っている以上におとなの目を意識するあまり、本当の思いを表現しづらい構造になっていることを知りました。
だからこそ私は、相談に来た子ども達との面談の中でも、「ほんとうのところはどう思っているのだろう?」と、とても悩みました。それと同時に、思っていないことを言わざるを得ないような子どもの背景に思いを寄せていました。そして不意に出てくる子どもの思いを聞いた時に、それまでみえてこなかった葛藤や、抱えていたしんどさが徐々に表面化してきました。逆に、子どもの思いがみえないまま、モヤモヤが続いていたこともあります。いずれにしても、子どもはおとなに対して弱い立場であり、本音を発することで、何らかのリスクを伴う経験をしてきたことを強く実感しました。子どものほんとうの思いを聞いてはじめて、あくまで身を守るために、心の内とは異なる言動をしてきた事実に直面しました。
こうした体験から、「子どもとおとなの立場の違い」というものを決して忘れてはならないなと感じています。その上で社会の一人のおとなとして、これからも引き続き、子どもの声がどうやったら守られるか、そして、子どもが安心・安全に生活できるかを考えていきたいと思っております。
最後に、短い間でしたが、オンブズを通じてかかわっていただいたみなさま、大変お世話になりました。この場をお借りして、お礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
執筆 相談員 大久保 遥(はるたん)
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