子どもオンブズ・コラム平成27年11月号 「地方自治と子ども施策」自治体シンポ2017に参加して

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ページ番号1001672  更新日 平成30年8月3日 印刷 

「地方自治と子ども施策」自治体シンポジウム2017in越前に参加して

村上相談員の似顔絵
村上 相談員

 「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムは、全国の子ども支援に携わる自治体の人々が出会い、交流し、意見交換しあう場です。2002年に川西市で開催したのを機に、毎年開催されていますが、子どもの権利条約を基本とする「子どもにやさしいまちづくり」の意識の高まり、またその必要性に応じて、年々参加者数も増えてきています。2017年度のシンポジウムは、9月30日(土曜日)・10月1日(日曜日)に福井県越前市で開催され、2日間を通して、全国から約740名の関係者が参加しました。川西市からは堀家オンブズパーソン、事務局沼さんと相談員の村上が出席しました。
 このシンポジウムでは、全体でのパネルディスカッションと、8つの分科会(「子どもの相談・救済」や「子どもの虐待防止」「子どもの居場所」「子ども参加」などなど)に分かれて、それぞれのテーマで協議を深める場がありました。川西子どもオンブズも、「子どもの相談・救済」の分科会で、先進自治体としての取り組みの報告を求められ、「川西子どもオンブズの現状とこれから」というテーマで、川西オンブズの基本姿勢や最近の相談の傾向、及び相談から制度改善に繋げた事例などの発表をしました。今回の開催都市である越前市は、子どもオンブズを設立したいという強い思いをもたれており、たくさんの越前市職員が参加され、質問をされていました。川西子どもオンブズが、全国に先駆けて設置されたということもあり、川西での取り組みについても、たくさんの質問を受けました。その中で、改めて川西市の子どもオンブズが法的根拠に基づいて、しっかりとした体制で設置されていること、また長年にわたる実践の積み重ねが、日々の活動に活かされていることを感じました。
また、前日の9月29日(金曜日)には、全国の子どもオンブズ等の関係者が集まる「関係者会議」も開催され、私たちも参加しました。「関係者会議」の開催趣旨は、全国の自治体から子どもの相談・救済に関わる実務者(オンブズパーソン・相談員・事務局担当者など)や、これから同じような制度をつくろうとしている自治体の関係者が集い、実際の活動、課題等を報告し合い検討する中で、制度についての理解を深め、実践の質を高めることです。今年の「関係者会議」では、複数の子どもオンブズから活動報告があり、その報告を基に、子どもの声をしっかりと受け止め、関係するおとなとの間をどう調整していけるかや、オンブズ活動から見えてきた課題を社会にどう発信していけるか、また子どもの主体的な問題解決を支えるためには、どうオンブズ制度が整備されるべきか等、それぞれの実践の中での悩みや気づきなど、多岐にわたり話し合いました。

 ここで、全国自治体シンポジウムに参加して、私なりに感じたこと、考えたことについて少し触れてみたいと思います。今年のシンポジウムの全体テーマは、「市民自治で創る子どもにやさしいまち」というもので、そのテーマに基づきみんなで考えたり話し合ったりしました。豊田市では、「子ども会議」を設置して、メンバーの子どもの声を基に、子どもの声をまちづくりに積極的に取り入れるようなシステムを作られているそうです。子ども会議の活動では、メンバーが、まずテーマ別の検討会に分かれて、それぞれのテーマに沿って定期的に調査活動を行うそうです。実際に市民(子ども・おとな)への聞き取りを行ったりして集約した意見をまとめ、年に一度開催する「子どもシンポジウム」で、市内小中学校からの参加者に話を聞いてもらい、意見交換を行い、その意見をまとめて提案書を作成するそうです。そうして、実際にその提案に関係する市の担当職員と市長に提案書を手渡し説明するそうです。また、子ども会議の開催ごとに通信を発行して、メンバーの活動を広く市民に報告しているそうです。当日は、子ども会議メンバーが活動報告をしてくれましたが、その報告を聞きながら、自分の意見をしっかりと発言し、おとなと対話するなかで、まちづくりに参加していくことの面白さを感じている姿が眩しくうつりました。
 他方で、積極的に声をあげることが難しい立場にいる子どもの声をどう集約し、施策に活かしていったらいいか、そこが悩ましいところだと思います。今回の参加者の間でもそのことが議論となりました。子どもの声をしっかり受け止めるための環境整備や、受けとめたうえで、どう社会に発信していけるのか、その仕組みの話など、様々な声があがりました。
 川西子どもオンブズの日々の相談活動の中でも、様々な理由で声をあげることが難しい子どもに出会います。しんどい状況下で声をあげることが難しい子どもや、声をあげることを諦めている子ども、また自分の声を受け止めてもらえるということに気づかされないままにきた子ども、などです。オンブズでは、まず相談をしてくれた子どもの気持ちに沿って、丁寧に話を聞きます。そこから子どもにとってどうなったら1番いいなと思うか、その子にとっての問題解決について一緒に考えます。子どもたちは、自身が主体となり問題解決をはかる過程で、周りのおとなに自分の声を伝え、そしてやり取りする機会を得て、どんどんと元気になっていきます。しかしその一方で、子どもとその周りの関係を調整するだけでは解決することが難しい問題もあります。たとえば、制度やシステムの問題であったり、その子どもの問題の背景に家族が抱える深刻な課題があり、その課題を救済する社会システムが脆弱であったりした時です。そういった場合、オンブズでは、日々の相談を通して見えてきた制度やシステム上の課題について、意見表明や提言を行い、制度改善に繋げていくことで、子どもの最善の利益の追求を図ります。
 この3日間の経験を踏まえて感じたことは、そのように、子どもオンブズが日々の活動で見えてきた課題を社会に発信していくことが重要であるということです。それが、声をあげにくい子どもの声を代弁していくことになり、子どもの最善の利益を実現する子ども施策推進の一端を担うことであるのだと、改めてその意義を実感しました。
 今回、全国自治体シンポジウムに参加し、子ども支援に携わるたくさんの方々と出会い、協議できたことは、貴重な勉強の機会となりました。そして、全国で子どもの権利を守り支えようとする取り組み、考えが着実に広がっていると実感しました。今回のシンポジウム、及び関係者会議を通し議論されたことを、今後の川西市のオンブズパーソン活動に生かしていきたいと思います。

(相談員:村上 裕子/むーやん)

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