子どもオンブズ・コラム 令和6年4月号 代表に就任して思うこと

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ページ番号1019582  更新日 令和6年5月7日 印刷 

代表に就任して思うこと

渡邊オンブズパーソン
渡邊オンブズパーソン イラスト

 今年度から代表オンブズパーソンに就任しました渡邊です。
 昨年度に続き、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
 「代表に就任して」などというタイトルにはしてみましたが、別に何か大きな変化があるわけではなく、これまでどおり責任感をもって対応していこうと思いを新たにしている次第です。

 さて、個別救済から制度改善へ、というオンブズワークの基本に立ち返った時、あるいはこども基本法の施行に際して、最近特に思っているのは、「子どもの意見表見権をどのように実効化できるのか」、つまり、「子どもにとって大事なことを、子どもである間にどう身につけてもらうのか」ということです。といっても、何も難しいことを考えているわけではなく、すごくシンプルな話で、要するに、子どもの人権についてもっとおとなが広報、周知する必要がある、という点です。

 例えば、おとなだって悩みを抱えているわけですが、子どもにもいろんな悩みがあります。「親が怒鳴ってくるのでしんどい」「勉強がわからなくて授業についていけないので誰かに相談したい」「部活動に行くのがつらい」「友達のことがうらやましくてたまらない」などなど。ただ、自分が子どもだった時のことを思うと、親に怒鳴りつけられても、校則で丸刈りにされても、部活動で強制的にグランドを何十周させられても、「つらい」「腹が立つ」と思うだけで、それを人権侵害だと思うことはありませんでした。なぜなら、人権侵害に気づくための教育を受けていなかったからです。

 知らないことについては、気づくことも声を上げることも難しいです。個別救済案件に携わると、虐待にせよ、いじめにせよ、不登校にせよ、問題に直面した子ども本人が声を上げていたならば、もっと早期に対策できたのではないか、と思われる事案が少なくありません。 昨年度、川西市の全中学2年生の人権学習をする機会をいただきました。非常に良い経験でしたが、生徒からは「子どもの人権なんて知らなかった」という感想が多く寄せられました。まぁ、そうでしょう、私だって弁護士になるまでは知らなかったのですから。

 しかしながら、やはりこども基本法ができた今日では、これではダメだと思うのです。できれば就学前から、毎年のように、声を上げるための「武器」として、自らにある子どもの権利(条約で定められている、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利(注))を体系的、継続的に学ぶことが必要です。それらがすべて子どもの意見表明権の実効化につながっていくのだと思います(実際、欧州などではそのような子どもへの教育が、普通に行われていると聞きます)。
 この学びを子どもに定着させるのは、何も学校の先生だけの仕事ではありません。親や地域の人などのほか、国全体を上げて対応する必要があるでしょう。ですので、私は、テレビではもっと子どもの人権を啓発するような番組をどんどん放映すべきだし、政府は子どもの人権に関するCMをYouTubeとかでどんどん流すべきだと思います。

 そういう意味では、私たちが経験していないような子ども時代を、まさに今のおとなが覚悟をもって作っていかないといけない、他人事のように願うのではなく、まず私が、その覚悟をもって残りの人生を送りたいと感じている次第です。
 

 (注)以前、ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は「子どもの権利条約」に定められている権利は大きく分けるとこの4つの権利であるとの説明をしていましたが、現在ではその説明をしていないようです(https://www.unicef.or.jp/crc/principles/)。

執筆 代表オンブズパーソン 渡邊 徹

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