子どもオンブズ・コラム平成27年3月号 退任のごあいさつ かけがえのない日々を振り返って

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ページ番号1001700  更新日 平成30年3月8日 印刷 

退任のごあいさつ「かけがえのない日々を振り返って」

勝井オンブズの似顔絵
 似顔絵:勝井オンブズパーソン

 この3月で、オンブズパーソンを退任することとなりました。
 私のコラムの最終回では、『たとへば君 四十年の恋』(河野裕子・永田和宏、文春文庫)から、河野裕子さんの短歌をふたつ、ご紹介しようと思います。
 河野裕子(かわの ゆうこ)さんは歌人で、中学時代から歌を詠んでおられたそうです。相方の永田和宏(ながた かずひろ)さんは、細胞生物学の先生で、大学の先生などをなさりながら短歌を作っておられる歌人です。この本は、歌人夫婦のお二人が、大学で出会ってから、河野さんが病気で逝去されるまでの40年の間に交わした歌や文章を、永田さんがまとめられたものです。

 ひとつめはこの歌です。

 たとへば君 ガサッと落葉すくうやうにわたしをさらつて行つてはくれぬか

 この歌は、第一章のはじめに掲載されています。
 河野さんが21才、永田さんが20才で出会った翌年に作られた歌だそうです。
 恋愛がはじまりかけたときの心模様を、ぶっきらぼうな物言いでありながら、瑞々しく、少し艶っぽく詠い上げています。胸がキュンとする、だいすきな歌です。

 そして、ふたつめ。

 手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が

 河野さんは、54才のときにがんがみつかり、一度は小康を得たものの、8年後に再発し、2年後に逝去されました。
 この歌は、河野さんが亡くなる前日の歌だそうです。終章の最後に掲載されています。
 これまで長い時間をともに過ごしてきた大切なひとに、触れたいのに、届かない。
 河野さんの心情や、相方の永田さんの心持ちを思うと、切なくて、泣けてきます。

 この世で出会うことができ、ともに過ごすこととなった大切なひとたち。たとえばパートナー、子どもたち、仕事仲間。彼らとともに過ごした時間、ともに過ごしている今。永遠に続くように思える、このときにも、いつか、終わりが来る。そのときまで、大切なひととの時間を、私らしく、気持ちよく、たいせつに、生きていきたい。
 この本と、このふたつの歌を読んで、改めて、そう思いました。

 ひるがえって、川西市子どもの人権オンブズパーソンに就任させて頂き、オンブズチームの一員として過ごしたこの2年間。オンブズチームの全員が、子どもを中心とした、子ども自身による解決を、一丸となって真剣に模索していることを、身をもって知ることができました。どうすべきか悩んだり、意見の違いから議論となることもありましたが、振り返ると、本当に幸せな、清々しい、貴重な2年間でした。
 オンブズチームの皆さん、そして、出会わせていただいた子どもの皆さん、親御さん、先生方、行政の方々。皆、かけがえのない、私の宝物です。お世話になりました。ありがとうございました。
 川西市に子どもの人権オンブズパーソン制度がある限り、川西市の子どもの皆さんも、子どもにかかわるおとなの皆さんも、ものすごく大きな味方をもっていると確信します。
 こんなことは誰にも話せない、と思い悩むとき、ぜひ、オンブズを思い出してください。オンブズチームは絶対に子どもの味方です。経験者の私が保証します。
 この2年間の経験を糧にして、私も、当たり前のようでいて、実は当たり前ではない、これからの日々を、大切なひととともに、気持ちよく、私らしく、生きていこうと思います。

執筆:オンブズパーソン・勝井映子


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