子どもオンブズ・コラム 令和5年12月号 子どもだって大変、子どもだから大変

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ページ番号1018917  更新日 令和6年1月4日 印刷 

子どもだって大変、子どもだから大変

李相談員
李相談員 イラスト

 先日、ボランティアの一環で市外のとある小学校で授業を見る機会を得ました。周りに相談する大切さを体験してもらう授業で、小学生がそれぞれ悩みごとを発表していました。「クリスマスプレゼントが決まらない」「ご飯を食べるとき、べろを噛んじゃう」など、どれもクスッと笑ってしまうような可愛いお悩みでした。でも、よく考えてみると、子どもにとっては一大事かもしれません。子どもの立場で考えると大変なことなのに、おとなになった私はどこか「子どもの悩みって可愛いもの」というふうに考えていました。

 そういう私は小学校の頃、どのような悩みごとを抱えていたのか振り返ってみると「みんなは見てもいいのに、うちでは見てはいけないアニメ・番組がある」「ゲームの時間が短い」などです。おとなの私からしたら、それほど大きな問題ではないのですが小学生の私にとっては死活問題でした。自分だけ番組を見ておらず、次の日の学校で友達との会話についていけない疎外感。やっとクリアしそうなのにゲーム終了を知らせるタイマーが鳴り、いつまでもクリアできない不全感。改めて考えてみると、子どもだって大変です。いや、子どもだから大変なのかもしれません。

 もし、「子どもとおとな、どっちがいい?」と聞かれたら、私はおとなと答えます。「責任」というものがついてきますが、子どもの頃に比べると自分で選べることが多いからです。中高生の頃、私の「学校」に対する印象は、決められた時間割の勉強をして、テストの点数で評価されるところでした。休み時間に友達と話す楽しさもありましたが、それもつかの間。決められたことを淡々とこなし、家と学校の往復で一日が終わっていました。それに比べ、大学生になると興味のある学問を中心に勉強でき、家と学校の他にサークルやアルバイトなど、居場所が増えました。おとなになった今は、仕事はもちろん大変ですが、幸いにも私は自分がやりたいと思うことを仕事にできています。

 私もちょっと前(と自分では思っています)まで子どもだったのに、子どもならではの大変さを忘れていました。オンブズの面談で子ども達と話していると、おとなの私から見てもしんどいと思う状況の中で「よく頑張っているな」と思うことがあります。しんどい状況の中で頑張れていて、すでに力を持っているはずなのに、それに気付けていないようにも思います。気付けていない要因は本人の考え方よりも、周囲のおとなからの言葉や社会の価値観という環境からの影響が大きいと思います。何度も適切に扱ってもらえない経験をすると「自分には力が無い」「言ってもどうせ変わらない」と考えるようになることは、人として普通の反応です。

 オンブズパーソンとは何かを考える上で必要なキーワードのひとつとして「エンパワーメント」があげられます。エンパワーメントとは、簡単に言うと自分の力をいきいきと発揮することで、なりたい自分になったり社会参加に向かったりする過程のことを指します。「自分には力が無い」「言ってもどうせ変わらない」と思っている子ども達の、本来持っている力を引き出していけるような、一緒に見つけていけるような、そんな相談員になりたいです。

 執筆 相談員 李  美蘭

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