子どもオンブズ・コラム平成27年8月号 暮らしのなかの暴力と平和

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ページ番号1001695  更新日 平成30年3月8日 印刷 

暮らしのなかの暴力と平和

渡邊相談員の似顔絵
 似顔絵:渡邊チーフ相談員

 戦後70年目の夏がやってきました。今年はとりわけ、「戦争」や「平和」をめぐって、さまざまな議論が交わされています。
 「戦争をすることがよいことか?」とたずねられれば、「よいことだ」と答える人は、まずいないでしょう。私たちは、マンガや映画、学校での平和学習などのさまざまな機会を通じて、戦争を体験したたくさんの人たちの思いや願いにふれることができます。
 いっぽうで、「平和」という言葉は、どこかイメージしにくい、つかみきれないもののように感じられます。素朴に考えると、海外では悲惨な戦争がくりかえし起きているけど、日本では70年間、戦争が起きていないから平和なんだということになるのかもしれません。

 はたして、戦争さえなければ、私たちは日々を平和に暮らせているといえるのでしょうか。生きづらさを抱える子どもたちや家族とじかに関わる仕事をさせてもらうなかで、そんな問いがふと、頭をよぎります。
 いまこの瞬間に、自分の頭上から爆弾が落ちてくるわけではない。
 家の外で銃弾が飛び交っているわけでもない。
 それでも、日々の生活のなかで、暴力におびえ、安心して過ごせる場所や人とのつながりを持てずにいる子どもたちは、決して少なくありません。
 自分より立場の弱い人に暴力をふるうというコミュニケーションのかたちを身に付けてしまい、自分の存在を丸ごと認めて受けとめてほしいのに、周りの人とつながれず、もがき続けている子どもたちもいます。
 自分の将来に明るいイメージが持てず、これから自分はどうなってしまうのか、生きていてもいいのだろうかという悩みを深める子どもたちもいます。
 子どもたちの生きている世界が、本当に平和を感じられるものになっているのかと、思わずにはいられません。

 日本では70年間、戦争は起きませんでした。
 しかし、おとなの世界でも、子どもの世界でも、日々の暮らしのあちこちに、さまざまなかたちの暴力が存在します。
 このような状況下では、暮らしのなかの平和はいつ脅かされても不思議ではありません。
 日々の暮らしのなかにひそむさまざまな暴力に目を向け、暴力によらない対等な人間関係をきずき、問題が起きた時には話し合いで解決するという文化をつくっていくこと。それが、私たち自身の手で平和な未来を守り、育んでいくことにつながるのではないでしょうか。
 問題が起きた時に、当事者それぞれの至らない点を責め合うのではなく、未来をみすえて、話し合いで解決すること。それは、オンブズが子どもの問題解決をお手伝いするときにもっとも大切にしていることでもあります。
 子どもたちが平和に、そして幸福に暮らせる社会をつくること。オンブズでの日々の活動が、ささやかでもそのための確かな一歩につながればと思っています。

執筆:相談員・渡邊充佳(みっちー)


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