子どもオンブズ・コラム 令和5年7月号 退職のあいさつ

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ページ番号1018120  更新日 令和5年7月25日 印刷 

相談員 退職のあいさつ 「みんな大切ないのち」

岸本相談員
岸本相談員 イラスト

 この4月に数年ぶりに高校の同窓会がありました。私は今回の同窓会の開催を友人からの電話で知りました。その電話をかけてきてくれた人は、友人といってもクラスが一緒になったことがあったぐらいで、それほど親しかったわけではありません。彼女とは前回の同窓会のときに久しぶりに会って、声をかけて電話番号を交換していました。
 彼女いわく「どうしているかな、あっちゃんに電話かけていいやろか、迷惑かな・・・」とだいぶ迷っていたそうです。そう聞いて、私は思わず「そんなことないよ。最近、知人の訃報が続いて、寂しいなと思ってて。だから、思い出してかけてきてくれたのが嬉しい。」と、同窓会で会うのを楽しみにしながら電話を切りました。

 同窓会の日も近づき、待ち合わせて一緒に行こうと思い、彼女に電話しました。その電話で、彼女は「小学校から同じだったけど、あんまりつき合いがなかったのに前の同窓会で話しかけてくれて、すごく嬉しかった。今のうちに会える人には会っておこうって思ってる。」と、彼女は自分の病気のことを近況をまじえて話してくれました。ちょっとした体調不良で検査したら、肺癌が見つかり、ステージ4で余命宣告もされたというのです。
 彼女は、早くに両親を亡くし、妹や弟たちの面倒をみるため仕事をかけ持ちし、自分が結婚してからも妹や弟の生活を支えてきました。妹や弟の手が離れると、今度は夫が倒れ看病する生活が続いていて、その夫が亡くなったあと、癌で余命何日と言われたというのです。あまりにあっけらかんと屈託なく話すので、私はびっくりしました。

 彼女は余命宣告されてから、「贅沢をしたいとは思わないけど、いつか、いつかって思ってたことが浮かんできて。だったら自分の人生、今を楽しまなくてどうする。やってみよう。」という気になったそうです。「時間がないからとあきらめていたことをやってみたい、なんとかやりくりすれば暮らしていける。」と仕事をきっぱりやめ、生活スタイルを変えたというのです。
 その結果、忙しくしていたときに感じていたストレスが減り、「お医者さんも驚くほど病状も安定して、余命ということも言われなくなった。」と話してくれました。そう話す彼女に、暗さはなく、マイナスな状況をプラスにとらえなおして、一日一日を大切に生きようとする強いパワーが感じられ、潔い彼女の姿に私が元気づけられたのです。

 今日という日は、二度とめぐってきません。私も一日一日を大事にしていきたいと思います。オンブズの相談員になって1年という短い期間でしたが、この7月末で退職します。
 「ああすればよかった、どうすれば」と思い悩み、自分に問いかけてきた日々は、貴重な経験となりました。出会った子どもたち、お話を聞かせていただいた皆さん、お世話になった関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
 最後に、命の大切さを伝える活動をされている手塚千砂子さんの「わたしは・ぼくは たいせつないのち」(作:手塚千砂子 絵:中田真理子 れんが書房新社)から詩の一部を紹介します。

わたしは・ぼくは うまれたときから いいものを たくさん もっているから
しっぱいしても いいところは なくならない
おこられても いいところは なくならない

みんなも うまれたときから いいものを たくさん もっている
だから みんな たいせつな いのち

執筆 相談員 岸本 厚美

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