子どもオンブズ・コラム 令和5年3月号 退職のごあいさつ 「感謝の気持ちをこめて」
ページ番号1017546 更新日 令和5年3月31日 印刷
退職のごあいさつ 「感謝の気持ちをこめて」

年齢を重ねてきたなかで、それなりに多くの別れを経験してきました。人との別れ、ペットとの別れ、場所との別れ、仕事との別れなど様々です。別れ方も、永遠に再会できない別れもあれば、その気になれば再会できる別れもあります。また、自分の意志で決めた別れもあれば、時の流れで避けることのできなかった別れもありました。
しかし、別れが訪れるまでに費やしたそれぞれの時間や経験は今の私自身を作っていると思えます。私の考え方や感じ方、行動の傾向などは、それらの時間の中で私自身が経験したことに大きく影響されています。同時に、私と時間を共有してくださった人々からも様々なことを学んできました。これらの経験やその中での人々との関わりがあってこそ、現在の私という人間があるのだと、今までを振り返りながら思います。
そして今また、私は新たな別れを迎えようとしています。一昨年の11月から1年5カ月の短い月日でしたが、川西市子どもの人権オンブズパーソンの相談員として仕事をさせていただきました。この間、仕事を通して様々な立場の人と出会い新たなことを知るなかで、気づくことが沢山ありました。特に印象深かったのは、子どもから思いや気持ちを聞きとるのはとても難しいということでした。私が上手くキャッチできないだけなのかもしれませんが、子どもが自分の気持ちを伝えることを躊躇しているように感じることもありました。それは、自分のことをどのように受け取られるのかといった不安があったからなのかもしれません。一方で、子どもが自分の思いに気づいていないために、言葉にすることができないと思われることもありました。子どもが自分の思いや気持ちを人に伝えることは私が思っていた以上に難しいもののようでした。それまで、『自分が思っていることや感じていることを分かって欲しければ、それを言葉にしないと相手に伝わらない』と考えていた私に、簡単には言葉にできないことがあるのだと教えてくれました。そして、この気づきは、私自身を以前よりも少し寛容な人間にしてくれたと思います。
どのような形であっても、別れは寂しさを伴います。けれども、別れのたびに心の中に新しい箱が増えてきました。これらの箱の中を時折覗くと寂しさは懐かしさに変わり、ほんのりと温かいぬくもりを感じることができます。そして、それぞれの箱の中に詰まっている貴重な経験や思いは、その後の私の生き方や考え方に、あるときは小さなヒントを、あるときは重要なアドバイスを与えてくれました。
相談員として1年5カ月の間に経験させていただいたことは、私にとっては貴重な学びでした。この学びを無駄にしないように今後の自分に活かしていきたいと思います。お会いすることのできたすべての皆様に感謝いたします。有り難うございました。
執筆:相談員 北村 寿江子(きたちゃん)
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