ウクライナ避難学生からの学び

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ページ番号1023608  更新日 令和7年12月24日 印刷 

勉強することが生きていることの証

教育委員メッセージ

川西市立明峰中学校で開催されたウクライナ避難学生との学習会の様子

 本市教育委員の佐々木教育委員がウクライナからの避難学生を受け入れられている機会を活用し、希望する校園所で共に学ぶ会を開催しています。以下は通訳としても参加している佐々木教育委員からの報告です。

 この度、縁あって、日本にウクライナ避難民の学生さんと知り合う機会を得ました。

 彼はウクライナ東部にある同国第2の都市ハルキウ(戦争前の人口は約140万人)に生まれ育ち、18歳を迎える直前にロシアによるウクライナ侵攻が開始しました。ハルキウは近いところでロシアとの国境からわずか30kmほどのところに位置しています。そのため、この4年近くの間、毎日のように攻撃を受け続けています。日本ではもう報道されることも少なくなっているようですが、この原稿を書いている瞬間も、ハルキウに残る彼の家族は攻撃による断続的な停電・断水の中で生活していることに胸が痛みます。

 このような戦地で彼が経験したことや考えたことを市内のいくつかの学校で講演してもらいました。その中から特に印象深かったことを共有したいと思います。

 まず、彼の「勉強すること」への思いです。ハルキウでは戦争のため学校の授業や試験は対面での実施が適わず、基本的に全てオンラインで行われるようになりました。インフラ施設が攻撃を受け停電するとインターネット回線が途切れるため授業に参加できなくなります。また、教師の住む地区が攻撃で被害を受けると授業は止まります。攻撃は授業を妨げるばかりでなく、クラスメートの命を奪いました。明日が来るかも分からない中で、彼は爆発音を聞きながら、時にはスマホのライトだけを頼りに、勉強に没頭しました。気温は零度をはるかに下回り、地下壕で毛布にくるまりながらです。勉強することが、生きていることの証だったからです。勉強に没頭することで精神の安定を保つことができたそうです。

 次に、日本の児童生徒に伝えたいことです。

 (1) 他者を理解する努力をしてほしい:人の話を聞き、交渉し、自分と違う考えを持つ人々を理解することを学んでください。尊重と忍耐を持って会話することを学んでください。また、外国語も学んでください。知っている言語が多ければ多いほど、他者の文化や考え、感情を理解することができます。言語は世界への窓を開き、国や人々の間に橋を架けることを可能にします。

 (2) 正しい判断を行うための知識を獲得してほしい:本を読みましょう。考えさせられる本、人や人生を理解することを教えてくれる本、世界の様々な側面を示してくれる本を読みましょう。文学は知識を与え、知識は正しい判断を下す力を与えてくれます。歴史も学んでください。先人の過ちを覚えていれば、同じ過ちを繰り返すことはありません。紛争の兆しを早期に見抜き、平和を守るために適切に対応することができます。

 (3) 平和は当たり前に与えられるものではないという事実に気づいてほしい:平和は当たり前のものではなく、毎日守り続けなければならないものです。平和を守り、学び、成長し、今日のあなたの知恵と行動が、明日を守るのだということを決して忘れないでください。

 彼がこの戦争を経験して一番悔しく思っていることは、「時間は戻せない」ということだそうです。彼は、平和のうちに友人と親交を深め、キャンパスで学び、家族と共に過ごすという時間を失いました。そして、そのような時間はもう取り戻すことができないのです。

 皆さんには、極限状態に追い込まれても生きることへの意欲を失うことなく「勉強することが生きていることの証である」と感じひたすら学び続ける学生がいたということを知ってほしいと思います。今このときもそのような思いで1秒1秒を生きている若者がいるかもしれないということも忘れたくないものです。

 戦争は過去に起こったことではなく現在進行形の人災であり、今も世界には苦しんでいる人々が多くいます。児童生徒の皆さんには、平和学習で学んだことを自分たちの実際の生活にどう結びつけ日本の平和の維持に役立てていくか、また国際社会の一員として何ができるかについても考えてみてほしいと願っています。

川西市立明峰中学校で開催されたウクライナ避難学生との学習会における個別質問の様子

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このページに関するお問い合わせ

教育推進部 教育総務課

〒666-8501 川西市中央町12番1号 市役所3階
電話:072-740-1256(就学担当)・072-740-1241(教育総務担当) ファクス:072-740-1327
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