広報かわにしmilife(みらいふ)2019年11月号特集 保護者と学校の道しるべ 川西市PTAあり方検討会(ホームページ版)

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ページ番号1009579  更新日 令和6年8月15日 印刷 

特集 保護者と学校の道しるべ 川西市PTAあり方検討会

特集のイメージ画像

 働く保護者が増え、PTA活動を続けることが難しいと感じている人が増えています。これまでPTAが担ってきた役割は、子どもたちの楽しく安全な学校生活には欠かせないものでした。これからのPTAはどうあるべきなのでしょうか。
 市では「川西市PTAあり方検討会」がスタートしています。子どもを中心に考え、保護者と教員、そして地域が共にPTAのあるべき姿を模索しています。

「川西市PTAあり方検討会」が始動 PTA活動を考える

野崎さんの写真
湊川短期大学教授 野崎洋司さん
(注)崎は立つ崎が正式表記

働く保護者が増える一方で活動が増えすぎたPTA
あり方を変えなければ存続自体が難しくなっています
保護者と教員、地域が意見を交換して考える
検討会が始まっています

野崎洋司さんプロフィール

県立高校教員、県教育委員会指導主事などを経て2017年から現職。専門分野は社会教育・生涯学習、教育行政・制度。主に学校・家庭・地域の連携協力の在り方を研究

結果が見えにくく負担に感じる

保護者の負担となる役員の業務

 保護者と教職員で組織する「PTA」。その存在が大きく揺らいでいます。
 PTAの始まりは終戦直後にさかのぼります。今から70年以上前、民主化を進める流れの中で文部省(当時)が「父母と先生の会」の結成を推進し、全国の学校でPTAが結成されました。
 60年代には学校給食の充実や子どもの教育環境の向上を後押しし、80年代には学校環境の健全化にも貢献。子どもたちを取り巻く環境は、PTAの活躍によって改善されてきました。保護者という立場から、学校がPTAに頼みやすかったこともあり、学校運営にとっても欠かせない存在となっています。
 しかし、中心となって活動してきた専業主婦が減り、核家族化が進むことで、これまで通りの活動に参加できる人が減少。また、社会環境が変わる中で、任意加入や個人情報、役員選出の問題など、課題の解決も求められています。
 役員に選ばれると、限られた時間の中で、これまで受け継がれた業務をこなさざるを得ない。役員の肩にのしかかる負担により、PTA自体に入りたくないという声も一部から上がっています。

当事者が議論する場

 PTAの改革が急がれる反面、PTA役員の任期は1年単位のため、検討や改善を継続して行うことが難しい状況にあります。
 そこで、市教育委員会が「PTAあり方検討会」を新たに発足。保護者や教員、地域コミュニティの代表、有識者など13人を招き、それぞれの立場から議論を交わしています。
 座長を務める湊川短期大学教授の野崎洋司さんは、これからのPTAの在り方は教職員や地域の人を交えて、みんなで考えていかなければならないと話します。
 「子どもたちのために、おとなである私たちに何ができるのかを考える検討会にしていきたいですね」

入退会などの課題を議論

 これまでの検討会では、任意加入の意思確認、個人情報の取り扱い、会費の徴収方法、役員の選出方法について、議論してきました。この内容を受け、各校PTAで今後検討されます。

  • 任意加入の意思確認
     PTAは任意の団体であり、入退会は会員の意思で決められるべきです。しかし、意思確認や説明のないまま保護者全員が会員となっているケースが多いことを問題として提起。意思確認をするための入会届案をPTA連合会から各校PTAに共有することで、各校で準備が進められることとなりました。
  • 個人情報の取り扱い・会費の徴収方法
     入会時、学校からPTAに氏名や住所などが提供される個人情報の扱いや、会費が同意のないまま学校徴収金と一緒に引き落とされることも、問題として挙げられました。個人情報の収集はPTAが行うことが望ましく、入会時に個人情報の収集をすることも可能であることなどを確認。また、学校徴収金と併せて徴収する場合は、入会届の提出時に同意を求めることも可能であることなどを確認しました。
  • 役員の選出方法
    役員の選出方法については、くじ引きや選出時に欠席にも関わらず決められる場合や、免除理由を会員の前で説明しなければならないなど厳しいルールが課せられていることが挙げられました。ルールで厳しくしなければなり手がいない状況など、活動内容にも起因する問題としながらも、事前に選出方法を明らかにし、法令遵守の上、役員を決めることなどを確認しました。

子どもたちに必要なことを整理

 今後、最も重要な活動内容についての議論が始まります。野崎さんは、「変える」ではなく、「今やっていることを整理する」ことが大切と強調します。
 「これまでの活動には必ず理由があります。そして、これまで役員として頑張ってPTA活動をつなげてくれた人、そして今も支えてくれている人のことを忘れてはいけません。検討会で活動の内容を一度棚卸して、子どもたちのため、そして保護者のために何が必要なのかを整理していけたらと考えています。その内容を各PTAに提示し、判断する材料としてもらうことで、より良いPTAづくりを支えたいと思っています」

70年以上続く保護者と教職員の任意団体

 Parent(親)とTeacher(教職員)によるAssociation(社会教育関係団体)であり、任意団体であるPTA。「保護者と教職員が協力して、学校・家庭・社会における児童の健全な成長を図ること」などを目的とし、子どもたちの生活環境や教育環境の改善、福祉の増進、健康・安全などのために活動しています。「会員(保護者と教職員)相互の親睦を深め、教養を高めること」も目的の一つです。
 現在、市内全ての小学校(16校)、中学校(7校)、特別支援学校(1校)にPTA(単位PTA)があり、役員が中心となって活動を行っています。そして、各小・中・特別支援学校の連合体である市PTA連合会(各幼稚園は市立幼稚園PTA連絡協議会)が設立され、情報交換やセミナーの開催、単位PTAからの要望の取りまとめを行っています。

保護者と教員が見るPTA 負担感をぬぐえるか

時代に合わせた変化が求められるPTA
「PTAあり方検討会」の構成員に
現在の活動に対する声を聞きました

池内さんの画像
清和台中学校PTA会長 池内明子さん
古谷さんの画像
PTA連合会会長 古谷茂政さん
小和田さんの画像
緑台中学校校長 小和田勉さん

池内明子さんプロフィール

パートで働く3児の母。幼稚園と小・中学校のPTA会長・副会長も経験を持つ

古谷茂政さんのプロフィール

中学校のPTA会長を4年間務め、昨年PTA連合会会長に着任。3児の父

小和田勉さんプロフィール

中学校教員を経て、市内の小・中学校で教頭・校長を歴任

学校と一緒に話せる組織は必要

保護者が抱くPTAのイメージ

 PTAに所属する保護者と教職員。同じ会員でも、PTAに対する考え方も違います。
 3児の母である池内明子さんは、PTA役員として負担を軽減するため、活動内容の見直しを重ねてきました。しかし、それだけではPTA離れは収まらないと話します。
 「PTAに対する悪いイメージが、保護者に広がり過ぎているように感じます。役員をしていると、『毎日学校に来ているんでしょ?』『私にはできない』と言われるんです。実際は、多い月で3日程度。これまでにも少しずつ負担は改善されてきましたが、空気が変わらなければ変わりません」
 役員になる保護者は、運営や会計など、初めて経験することも少なくありません。しかし、役員をしたからこそ分かることもあると池内さん。
 「保護者が学校と一緒に話をできる場所が必要だと思います。一個人では、学校を知り、学校に意見することは難しいんです。学校は敷居の高い場所。学校行事や授業参観以外で、日常の学校生活を見られるのもPTAならではです。子どもたちの学校での様子も見られて、先生とのつながりもできます。自分の子どもにも直結した活動なので、やりがいにつながっているんです」

やりたいと思える組織に変える

 役員を受け継ぎながらも、このまま次の人に渡すことはしたくないという池内さん。今後PTAに携わる人が続けられるように、変えられることは変えておきたいと学校や地域と調整を進めています。
 「今変わらないと、保護者が持ちこたえられません。負担を減らすと同時に、自分たちがやりたいと思えるPTAに変わらないといけないと思います。けれど、1年で任期が終わる役員だけで動かすのは難しいんです。『PTAあり方検討会』を機に、市全体が一斉に動けるようになること。そして、役員はできなくても、少しなら手を貸してもいいという保護者が増えてくれることで、PTAの空気が変わると期待しています」

結果が見えにくく負担に感じる

大きくなり過ぎた愛情の結晶

 PTA連合会会長を務める古谷茂政さんは、「PTAは子どもに向けた愛情の結晶。やってあげたい、協力したいという保護者の力で続いてきました。その塊が大きくなり過ぎたんです」と話します。
 70年という歴史の中で、PTA活動は学校内外で期待されてきました。子どもを持つ若い世代の力は、学校にとっても地域にとっても頼れる存在。その期待に応えようと、PTA役員は時間と労力を費やし、活動してきました。
 大きくなった活動が代々引き継がれる一方、働く保護者が増えています。これまでと同じ活動を続けることは困難です。
 「PTAは結果が見えにくい活動だといわれています。頑張って活動を続けていても成果が見えない。そこから感じる疲労感と大き過ぎる負担が、PTAへの疑問につながっているように感じます」
 PTA連合会としての活動も、これまで以上に各校PTAと学校、地域が互いに協力し合えるものにしたいと話します。

学校も変わるときを迎えている

子どもを支える両輪

 保護者の負担をすぐそばで目にしてきた校長の小和田勉さんは、「PTAと学校が両輪となり、子どもたちの学校生活を支えてきました。しかし、時間がとられることが負担という保護者の声も聞こえてきます。少しでも活動しやすい体制を整えることが必要」と話します。
 学校はPTAだけでなく地域との関わりも深く、協力しながら学校生活を充実させてきました。地域との関係を大切にしながら、発展的に関係を維持することが必要です。
 教職員の勤務時間適正化が課題となり、働き方の見直しが求められている学校。何に労力と時間をかけるのかも大きな問題です。
 「PTAも学校も変わらなければいけない時期を迎えています。共に走る両輪として、どうあるべきか一緒に考えなければなりません」

地域との関わりから考える

 登下校の見守りや夏祭りといった催しなど、子どもたちの生活に関わる地域活動。PTAも大きく関わっています。コミュニティの立場から、PTAとの関わりについて聞きました。

工夫を重ねられる関係づくり

 PTAと地域との関わりは、場所によってさまざま。お互いの相談ができるかどうかが大きく関わってきます。それは、自分たちで築くものなんです。
 大切なのは、核となるコミュニティ。対話の中で、会議の日程の調整や業務の分担など、小さな工夫を重ねることが必要です。足りないところをお互いに補いながら、地域の宝である子どもたちを守れる地域づくりを共に進めていきたいですね。

熊手さんの画像
東谷コミュニティ協議会会長
熊手輝秀さん

地域住民もPTAの一員としては

 学校と地域とのパイプは不可欠。忙しい保護者に代わって、地域住民がPTAに入ることも一つの方法として考えられるのではないでしょうか。地域には、子どもたちに手を差し伸べてきた人がたくさんいるんですよ。
子育ては他の何物にも代え難いもの。メリットもデメリットもないはずです。PTA活動も、子どものためにという目的を忘れずに見直していけたらと思います。

大村さんの画像
緑台・陽明コミュニティ協議会会長
大村衣子さん

先進事例から学ぶ 学校も地域も共に変わる

福本さんの画像
神戸市立桃山台中学校校長
福本靖さん

校長の立場からPTA改革に挑んだ福本靖さん
保護者が役員に立候補するほどの組織に
変わった理由を聞きました

福本靖さんのプロフィール

PTA改革やICT教育など、斬新な取り組みから注目を集める。元PTA会長の今関明子さんと『PTAのトリセツ―保護者と校長の奮闘記』を書き上げ、全国で講演会なども行う

三方が歩み寄って、落としどころをつくるために踏ん張れるかどうか

活動の見直しも同時に進める

 「保護者がやりたいと思う組織にならなければ、今後PTAそのものが立ち行かなくなります。本来の目的に沿った役割を明確にすることが必要です」
 市PTAあり方検討会で副座長を務める福本靖さんは、PTAの改革を保護者と共に行ってきた中学校の校長です。保護者と協力して活動を見直すことで、役員全員が立候補で決まる「保護者がやりたい」組織に変えてきました。
 「PTAの3点セットといわれる任意加入、個人情報、集金の課題は、解決するしか選択肢はありません。でもそこだけを変えると、会員が激減することが目に見えています。それでは、子どものためにしてあげたいことも充分にできないかもしれません。3点セットだけでなく、活動内容の見直しも一緒に考えなくてはなりません」

三方で歩み寄る落としどころ

 活動の根本的な見直しは、各校のPTAだけでは難しいと福本さん。
 「学校長の協力、そして地域の協力が欠かせません。しかし、人手が足りないのはどこも同じ。必ず利害が対立する場面が出てきます。その時に、PTAと学校、地域の三方がお互いに歩み寄って、落としどころをつくれるかどうかが踏ん張りどころです」

子どもに直結する活動がやりがいに

 活動を軽くするだけでなく、保護者がやりがいを感じられる活動に学校としてかじを切った福本さん。PTAの役員が校長や教頭と直接話し、学校運営を変えられる仕組みが取り入れられました。子どもの学校生活に直結する活動をPTAでできることが、保護者の役員立候補につながっていると話します。
 「教師の働き方改革が進む中で、学校も変わらなければいけない時期にきています。通知表の所見欄に書くコメントなど、学校業務の負担になっている部分もPTAを通して理解を得て、軽減させてもらっています。その代わり、学校も子どものためにできることは校則も変えていく姿勢です。だから、PTAをやりたいと言ってくれる保護者がいるんです」
 70年以上続いてきたPTAの存在意義が問われる時代になっています。労力と時間をかけてでも、今変えるしかないと福本さん。
 「今年から幼児教育の無償化が始まり、働く保護者はますます増えてきます。保護者自身が『子どものために何をしてくれるのか』ではなく、『何ができるのか』と考えられるようになればいいですね」

川西市PTAあり方検討会 今後の開催スケジュール

 PTAの組織や運営について意見を聞き、調査・研究を行う検討会。保護者を含め、各団体を代表する13人の構成員が議論を進めます。令和元年度のスケジュールは左記の通り。傍聴希望者は、開始30分前から当日会場へ(先着順)。

第3回

日時 11月17日(日曜日)午前10時~正午
場所 市役所7階会議室

第4回

日時 令和2年2月1日(土曜日)午後2時~午後4時
場所 市役所2階会議室

(注)第5回以降の予定は未定です。詳しくは下のリンク「川西市PTAあり方検討会」に掲載します。

PTCAフォーラム

主催 市PTA連合会
日時 令和2年1月18日(土曜日)午後0時半―午後4時
場所 キセラホール

 保護者と学校、地域が一緒になり、子どもに対する理解を深めるイベント。保護者だけでなく、誰でも参加可能です。今年度は、活動報告や表彰の他、新たに座談会を予定。保護者、教員、地域、そして市の代表者が今のPTAのあり方を語ります。広報誌令和2年1月号にも掲載予定です。

意見を交わしながら新しい答えを当事者でつくる

越田市長の写真
川西市長 越田謙治郎

 私はこれまで、PTA活動に関する子育て世代の思いにふれてきました。「役員が決まらないと帰れない」「夜勤明けに活動をしなければならない」など、多くの人がしんどさを感じていたのです。
 子どもたちに人生最高のスタートを切ってもらうためには、親も笑顔でなければいけない。そのためにも、PTAの負担感をなんとかしたいと「川西市PTAあり方検討会」を立ち上げました。
 検討会を始めるに当たり、PTA活動から保護者を解放してくれるという期待と、PTAをなくそうとしているという不安、そして市に方向性を示してほしいという要望の声がありました。しかし、私の思いはそのいずれでもありません。子どもたちにどう関わるのか、当事者で考えるしかないのです。PTAの役員は原則1年交代のため、変えたくても自分たちだけで変えることは難しい。だからこそ、みんなで一緒に考える場をつくりたかったのです。
 前向きに活動している人や、やりがいを感じている人がみんなに応援される組織。一方で、できない人の意思や事情が尊重される組織であるべきです。
 5月には、朝日新聞東京本社で行われたPTAフォーラムにパネリストとして出席してきました。全国で注目される課題に、大きな一歩を踏み出せたことを実感しながらも、前に進める責任を感じています。
 検討会では構成員の皆さんによって、しっかりとした議論が進められています。私もその進む先を見守っていくつもりです。検討会は傍聴もできるので、ぜひ皆さんも一緒に考えていただければと思います。

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