広報かわにしmilife(みらいふ)2019年6月号特集 輝きのバランス(ホームページ版)

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ページ番号1008775  更新日 令和1年5月28日 印刷 

特集 輝きのバランス

広報かわにしみらいふ6月号のイメージ画像

息をのむ光景

かわにしの初夏をホタルが舞う


豊かな自然の象徴、ホタル。6月を迎えると川西各所の小川で乱舞します
人里を好むといわれるゲンジボタル
その生育環境を保つことは難しく、壊すことはとても簡単です
ホタルスポットを訪れるその前に
奇跡の光景の理由を考えてみませんか

ゲンジボタルの写真

人の生活が作る恵まれた生育環境

平田信活さんの写真
川西自然教室・自然ふれあい講座
リーダー 平田信活さん

今年見られても来年いるとは限らない

ある瞬間、小川全体が呼吸をするように光を帯びるんです。あれは言葉を失う瞬間でした。つい数年前まで、そういったホタルのすみかが幾つかありました。
程よい人里ということもあるんでしょうね。過度に河川の整備が進むと、ゲンジボタルはすめなくなります。その一方で、餌となる貝、カワニナは藻などを必要としますから、いわゆる〝清流〟にすむというわけではなく、農業用水路や、穏やかな流れの河川にすみ付くものです。その特徴に当てはまる環境なんでしょう。
今でもゲンジボタルが乱舞する小川はありますが、当時とは比べものになりませんし、水田や池にすむヘイケボタルも、かつてほど姿を見せなくなりました。
ヘイケボタルが、まるでダイヤモンドダストのトンネルのように輝く中を歩いた経験が一度だけありました。あの場所もすっかり変わってしまいました。
私たちは定期的にホタルの数を調査していますが、次第に姿を消し、全くいなくなったポイントもあります。想像してみてください、灯が一つ一つ消えていくようなものです。今いるホタルが来年もいるとは限らないんですよ。
 

見る前に学ぶ

大西蘭子の写真
国崎クリーンセンター啓発施設ゆめほたる
副所長 大西蘭子さん

ホタルの観察はおとなになっても残る記憶

環境と地域へのマナー
多くの人に幻想的な景色を見てもらいたい反面、できるだけホタルに影響のないようにしなければなりません。
ホタルを見るのは夜。安全確保のためライトは欠かせませんが、あたりが明るいと見にくくなります。最低限の明かりで足元を照らし、目が慣れたら消して観賞します。
「草むらの奥に行けばもっとたくさんいるんじゃないか」と、探したくなる人もいます。草むらや河原を踏み荒らすと、すみかを壊してしまったり、地面や河原にいるホタルの幼虫を踏んでしまったりすることもあります。そっとのぞかせてもらうように楽しむことが大切です。
優雅な舞を見せてくれるホタルの成虫の命は1、2週間。水分しか取らないため、寿命が短いのです。生態系を守るためにも、捕まえても必ずその場に返してあげてください。ホタルのすむ環境でしか美しい景色は見られないんですよ。
ホタルへのマナーだけでなく、地域へのマナーも必要です。ホタルは人里に生息する身近な生き物。すぐ近くには民家や田畑があり、誰かの生活があることを忘れないでください。


初心者のためのイベントを開催
ヒメボタルやゲンジボタルが見られる国崎クリーンセンターでは、啓発施設ゆめほたるが毎年ホタルの観賞イベントを行っています。マナーの話はもちろん、ホタルの生態や特徴などの説明もありますよ。初めてホタルを見る場合は、こういったイベントに参加してみるのもいいかもしれませんね。
観賞場所へは、明るいうちに行くのがおすすめなんですよ。あらかじめ足元を確認できるのはもちろん、生い茂る草やカエルの鳴き声、初夏の夕方の匂い、少しずつ薄暗くなっていく景色、そして暗闇に舞うホタルの姿、その全てを体感できます。子どもたちにとって、その経験がおとなになっても記憶に残るんだと思います。

ホタル観察の作法 一般的な見学の仕方

長袖・長ズボンは必須
草むらを歩くため、木の枝や鋭い葉などから手足を守ります
懐中電灯で安全確保
暗い足元を照らすのに必要です
気温や湿度を確認
風がなく蒸し暑い日に、活発になることが多いといわれます
明るいうちに現地へ
ホタルのすみやすい環境を残しているため、整備していない場所が多くあります。暗くなる前に歩く場所を確認しておくと安心です
車は駐車場に駐車
歩いて観察をするため、車は駐車場に駐車します。公共交通機関の利用が基本です
明かりは最低限
懐中電灯を使うのは移動する時だけ。ホタルや付近の民家には向けません
静かに見る
山林の中でも近隣に家があるかもしれません。騒がず大声を出さず観賞します。また、私有地に勝手に入ることは違法です

ホタルの種類の説明図

動きを知る 貴重な景色を残すため活動をする人たちがいる

前田誠通さんの写真
ホタル復活プロジェクト
前田誠通さん

いつか見られると信じている

北小付近にいるホタル
車の多い県道のすぐ脇でゲンジボタルが生き残っているなんて、思ってもみませんでした。そこは川西北小学校付近の水路。わずか10頭程ですが、毎年6月になるとホタルの姿が見られます。
市街地の中にあり、夜でも明るい場所です。厳しい環境の中で生き延びてきたのは奇跡ですね。
水路の先にはキセラ川西地区のせせらぎ遊歩道があります。ホタル復活プロジェクトのメンバーと一緒に水生生物を調べ、ホタルの住める環境にあるかを調査してきました。生き延びたホタルが上流からうまく移り住めば、可能性はあります。キセラ川西でもホタルが見られる日が必ず来ると信じています。


身近にいるかも知れない
開発された新しいまちに水路が残されているのは、すばらしいことだと思います。
今回、川西北小学校付近で見つかったように、気付かないところで身近にホタルが生き延びている場所があるかもしれません。昔のように、近所で見られるようになれば良いと思います。

ふるさと川西の自然や生物と共生する

生物多様性ふるさと川西戦略

ホタルのすめる環境を守るため、私たち一人一人にできることがあります

身近なエコアップ
水路や川の清掃時に最低限の草木や砂利を残すことで、ホタルの好む環境を守ることができます

遺伝子の多様性の保全
地域ごとに異なるホタルの遺伝子の多様性が壊されるため、市から離れた地域からホタルを持ち込まない

この他、市が定める「生物多様性ふるさと川西戦略」では、市内の生息地や特徴、日常にできる行動などを紹介しています。市ホームページまたは市役所3階の環境衛生課で閲覧できます

問い合わせ 環境衛生課  電話 072(740)1202

ホタルの写真
かつてのホタルの姿
この景色はもうありません
人と自然のバランスから生まれる奇跡
私たちの行動一つで変わることがあるはずです

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