広報かわにしmilife(みらいふ)2019年8月号特集 遺跡がつなぐ過去と現在(ホームページ版)
ページ番号1009099 更新日 令和1年8月1日 印刷
特集 遺跡がつなぐ過去と現在
(注)今回の特集では、縄文~奈良時代の遺跡などを紹介しています。歴史学では縄文・弥生時代を原始、古墳・飛鳥・奈良時代を古代と分類していますが、全体を通して「古代」と表現しています。
川西に眠る古代遺跡の手がかり
土器や石器が発見されたことで
原始・古代に栄えた遺跡の存在が明らかになってきています
テレビや漫画で見ていた歴史が川西にもあったことを知っていますか
問い合わせ 社会教育課 電話番号072-740-1244
市北部にも遺跡を新たに発見 1200年以上前の痕跡
川西で見つかった遺跡
今から1200年以上前、私たちと同じように川西市のある場所で生活していた人がいます。その痕跡となる遺跡 が各地で発見されています。
今から100年以上前(明治44年)、現在の加茂1丁目周辺で、青銅でできた鐘「銅鐸」が偶然土の中から見つかりました。約1800年前に祭りの道具として使われていたもので、弥生時代に栄えた大規模集落「加茂遺跡」発見のきっかけとなりました。
火打2丁目にあるのは、勝福寺古墳です。世界遺産への登録が決まった「百舌鳥・古市古墳群」と同じく、鍵穴のような形をした前方後円墳。6世紀初めごろに作られたものだと考えられています。
新名神の地下で新発見
最近見つかった遺跡もあります。
平成25年、新名神高速道路の建設時に見つかった西畦野下ノ段・井戸遺跡では、市内で初めて縄文時代前期(約6500年前)の土器を発見。石道才谷・堂ノ後遺跡は、平安時代初頭に編まれた歴史書『日本後紀』に書かれた官営牧場「畝野牧」があった可能性があるとされています。
市内で新たに遺跡が発見されたのは約10年ぶりです。
昔の生活を知る鍵
これまでに市内で発見された遺跡は44カ所。住居やお墓の跡などが見つかり、現在も調査が続けられています。
遺跡の年代や建物の形、集落の規模だけでなく、遺跡の性格から、当時の生活の様子なども少しずつ明らかになってきています。
遺跡は見られるの?
市内で発見された遺跡の多くは、開発事業の前に行われる発掘調査で見つかっています。調査が終わると埋め戻されるため、現在は見ることができません。
勝福寺古墳は現在も横穴式石室が残っており、団体で申し込めば入り口まで見学することができます。詳しくは社会教育課(電話番号072-740-1244)へ。
“古代人”のライフスタイルを知る
タイムスリップができなくても 写真や本が残っていなくても
土から出てきた土器や石器が古代の生活や文化を教えてくれます
弥生時代のリサイクルを発見
市内で見つかった遺物のほとんどは、文化財資料館に集められます。土から掘り出された土器や石器から、大昔の生活を調べているんです。
例えば、土器の表面には線で描かれた文様や植物に押し付けた跡などが残っていることがあります。時代ごとにデザインや形に特徴があるので、作られた時代を知るヒントになるんですよ。
また、その時代にどんな植物があったのかも分かります。籾(もみがらがついたままの米)の跡がついている土器は、稲作が行われていた証拠。今の私たちと同じ、お米を食べていたと想像できるんです。
今年2月、加茂遺跡の調査で弥生時代の「リサイクル」が明らかになりました。見つかったのは折れた石剣。元は木の柄を付ける物ですが、刃の部分が滑らかに磨かれていたので、手で握る剣として再利用していたと考えられます。2000年も前に生きていた人が何を考えて行動していたのかを読み取ることができる、それが考古学なんです。
100年以上をかけて古代の生活を復元
見つかった土器は割れているものがほとんど。破片を集めて復元します。作業はとても地味で、うまくつながらないことも多いんですよ。でも新しい発見があると、少しずつ昔の川西の生活を復元することができるんです。教科書で見ていた歴史が、すぐ近くにあると感じられますね。
100年以上調査が続けられてきた加茂遺跡は、近畿地方を代表する弥生時代の大規模集落。毎年少しずつ発掘調査が続いていますが、これまで調査ができたのは全体の1割程度。今も深さ30センチほどの地中に、遺跡のほとんどが眠っているんです。当時の生活を知るヒントが残されていると思うと、わくわくします。
資料館で見る川西
文化財資料館では、調査した遺物の展示も行っています。勝福寺古墳で見つかった埴輪も展示中。皆さんがイメージする人型ではありませんが、甲冑や太刀の形をした埴輪の破片が見つかっているんですよ。
今住んでいるまちのずっと昔の姿をのぞきに来てみてください。
教科書の写真も実物にはかなわない 子どもが歴史を身近に感じられる川西
住んでいるまち自体が、子どもたちが歴史に興味を持つ“入り口”になっています。加茂地区には遺跡や社寺がたくさんあり、子どもたちにとって身近な場所となっています。また、地域の皆さんも昔の地図を貸し出すなど、協力してくれるんです。今では、授業で加茂遺跡の話をすると、「グラウンドを掘ったら何か出てくるかな」と目をきらきらさせるほどなんですよ。
社会科は、苦手な教科として挙げられることがよくあります。子どもたちにとって、はるか昔の出来事は見ることも触ることもできず、縁遠いことが原因の一つ。でも、文化財資料館に行けば本物の土器や石器を目にすることができます。教科書の文字や写真も、実物のインパクトにはかなわないんです。知っているものが授業とつながったときに、物事の見方が変わり、細かいところにも目が行くようになります。
加茂地区だけでなく市内に住む子どもたちも、身近な場所から川西の歴史に関心を持ってくれるとうれしいですね。
弥生時代に思いをはせて 自生する植物「カラムシ」で当時の衣服を再現
「現在までカラムシが加茂地区で自生し続けている奇跡をつなぎたい」と話すのは、「加茂遺跡クラブ」のメンバー。 カラムシは、弥生時代の衣服「貫頭衣」の材料に使われたとされる植物です。4年ほど前に最明寺川沿いに自生しているのを見つけました。博物館や研究グループに問い合わせると、水や土壌などの環境が変化し、遺跡などの近くで自生のカラムシが残っている場所は少ないとのこと。
せっかくなら当時と同じ材料と道具で再現しようと、立ち上がります。6月に採取した茎の皮をはぎ、繊維だけを削り出し、数本をよって糸にします。全て手作業のため、1日に作れる糸はわずか30メートル。布にすると数センチ分しか作れません。それでも、ここでしかできない方法で丁寧に紡いでいきます。
「今年の目標は貫頭衣を1着完成させること。秋の発表会でお披露目したい」と意気込むメンバー。糸は長く、しなやかに紡がれていました。
ここにしかない物語を子どもたちへ
明らかになった歴史や暮らしは、まちの特徴の一つ
歴史の物語を伝える人がいます
歴史の裏側を伝えたい
文化財資料館に展示された遺物にまつわるストーリーを紹介するのは、市文化財ボランティアガイドの会の皆さん。その説明は、専門家も驚く詳しさと分かりやすさで評判です。
「遺跡や文化財をただ見るだけなんてもったいない。歴史の裏側にあるストーリーを知るのが楽しいんですよ」会長の大北さんは、川西の歴史の奥深さに魅入られた一人。退職するまで知らなかったと話します。
昨年同会では、延べ750人を案内。四国や広島から届く依頼もあります。
「自分たちが住むまちの歴史や文化を知ってもらえることがうれしいですね。知れば知るほど、川西の歴史は教科書で見ていた日本の歴史とつながりが深いことに気づくんですよ」
子どもたちの故郷の記憶
夏休み期間には、文化財資料館で子どもたちの勾玉作りをサポート。また、毎年11月には「加茂遺跡弥生のムラ スタンプラリー」を共催し、加茂遺跡の歴史や当時の暮らしを紹介しています。参加した小学生がメモを取りながら、真剣に聞いてくれたことがうれしいと大北さん。
「川西で生まれ育った子どもたちが、このまちのことを好きになるきっかけにしたいですね。せっかくの夏休みなので、親子一緒に楽しく学ぶ場所を作っていけたらと思います」
歴史を物語る遺産を次の世代へ
市内にはたくさんの遺跡があります。昔から知られている遺跡や、近年新しく見つかった遺跡。また、国や県の指定を受けている遺跡や、まだまだ実態が分かっていない遺跡などさまざまです。
普段は地面の下で目には見えませんが、それぞれが川西の歴史を物語る大切な遺産です。そんな川西の遺産を地域の皆さんと共に守り、次の世代に引き継いでいくことが私達の大切な役割だと思っています。文化財の魅力を探求・発信している各団体の活動は、まさにその好例。これから、活動の輪が広がっていけばと思います。
次代の担い手である子どもたちにも興味を持ってもらえるように、文化財資料館では勾玉作りなどの教室や小学校での出張講座を行っています。皆さんも、地域の遺跡が語る“いにしえの川西”に耳を傾けてみませんか。
おとなも子どもも考古学にチャレンジ
川西の歴史にふれるイベントを開催しています
家族や友達と一緒に体験してみませんか
勾玉づくり教室
栄根遺跡で見つかった「勾玉」を参考に自分だけの勾玉を作ってみよう
8月3日(土曜日)~12日(振替休日)は毎日開催
(注)5日(月曜日)は休館
日時 土曜日・日曜日、祝日の午後1時からと2時半から
場所 文化財資料館
費用 1個50円
定員 各6人程度(先着順)
申し込み 当日会場へ
問い合わせ 文化財資料館 電話番号072-757-8624
郷土館 夏休み勾玉づくり教室
日時 8月22日(木曜日)午前10時―正午
場所 郷土館
対象 小学生(1~3年生は保護者同伴)
費用 1個50円(保護者は要入館料)
定員 20人(先着順)
申し込み 電話で8月1日㈭午前10時から同館へ
問い合わせ 郷土館 072-794-3354
考古学講座
「古墳時代の甲冑」をテーマに
実際の遺物を見ながら説明します
日時 8月20日(火曜日)午前10時―11時半
場所 文化財資料館
講師 同館職員
定員 30人(先着順)
申し込み 電話で8月1日㈭午前9時半から
問い合わせ 文化財資料館 電話番号072-757-8624
文化財ガイドブック
市内の文化財を紹介する
『かわにし文化財めぐり』を販売中
遺跡や寺社など、市内のさまざまな文化財を紹介。解説に加え、行き方や地図も掲載しています
価格 600円
販売場所 文化財資料館、郷土館、市役所3階の社会教育課
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このページに関するお問い合わせ
市長公室 広報広聴課
〒666-8501 川西市中央町12番1号 市役所4階
電話:072-740-1104 ファクス:072-755-4145
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