里山三種の心木と川西五木

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ページ番号1007224  更新日 令和2年7月3日 印刷 

 川西市では、平成27年に「生物多様性ふるさと川西戦略」を策定し、取り組みを進めています。戦略を多くの市民の皆様に知っていただくため、川西市の生物多様性保全を進めるうえで重要な植物を選定し、推進のためのシンボルとして活用することが、平成29年度の川西市環境審議会の専門部会である生物多様性ふるさと川西戦略推進委員会(委員長 武田 義明氏)で決定されました。

 

「生物多様性ふるさと川西戦略」における里山保全のシンボル

里山三種の心木を選定

川西市の自然としてもっとも重要な日本一の里山林を構成する種より選定したクヌギ、エドヒガン、ナラガシワの3種とし、それらを「生物多様性ふるさと川西戦略」における里山保全のシンボル「里山三種の心木」と命名しました。

クヌギ

クヌギ

川西市黒川一帯には台場クヌギを優占種とする里山林が広がっています。台場クヌギ林はクヌギをはじめとしてコナラ、アベマキ、ナラガシワ、ヤマザクラ、カスミザクラ、エドヒガンなど多くの植物によって構成されていますが、日本一の里山林、台場クヌギ林の代表種といえばクヌギです。クヌギの樹液にはオオクワガタ、カブトムシ、オオムラサキなどの昆虫が集まり、クヌギの葉にはオオミドリシジミ、ウラナミアカシジミなどの蝶の幼虫が生息しています。クヌギはまさに生物多様性の世界の基盤を構成している樹林であり、「里山三種の心木」のNO.1の樹林です。

エドヒガン

エドヒガン

2番目の樹林は台場クヌギ林の林縁やガレ場に多く生育し、川西市内の4カ所で天然記念物に指定されているエドヒガンです。エドヒガンはヤマザクラやカスミザクラと同様に自生するサクラの一種ですが、ヤマザクラなどに比べて個体数は、兵庫県のレッドリストに記載されているほどはるかに少なく、絶滅危惧種に指定されているほどです。この珍しいサクラが川西市内には多く分布しており、大木となって多様な美しい花をつけることから、市内の自生地はサクラの名所となっています。これらのことよりエドヒガンは「里山三種の心木」のNo.2の樹木になります。

ナラガシワ

ナラガシワ

3番目の樹木は里山林構成種のナラガシワです。風土記などの古典に記されている「かしは」とは現在のナラガシワに該当します。本来ナラガシワにカシワの名を与えるべきであったのに、本草家、分類学者が誤って北方に多い「かしは」類似の樹木にカシワの名前をつけてしまいました。本家「かしは」であるナラガシワの葉は奈良・平安時代等には特別な神事に供物を盛る器として用いられていました。その「かしは」の葉を天皇の命を受けた美しい采女が川西市畦野に取りに来たことが「住吉大社神代記」という古文書に記されています。また、ナラガシワは絶滅危惧種のヒロオビミドリシジミという大変美しい蝶の唯一の食草となっています。ヒロオビミドリシジミは国内では中国、近畿地方に分布していますが、興味深いことに、分布の東限は川西市笹部となっています。ナラガシワは地域の食文化とも関係しています。猪名川上流域で作られている「ちまき」はナラガシワとヨシという2種の植物の葉で包まれているのです。日本国中探してもナラガシワで包む「ちまき」(かしわもちではない)は他にはありません。これらの歴史、地域文化、自然を重ね合わせると、ナラガシワは「里山三種の心木」のNo.3にふさわしいです。

「生物多様性ふるさと川西戦略」における重要な自然保全のシンボル

川西五木を選定

 川西市の貴重な自然である夏緑樹林、照葉樹林、ユキヤナギ低木林、アカマツーコナラ林、エノキームクノキ林という5樹林を代表する「ブナ」「コジイ」「ユキヤナギ」「シロバナウンゼンツツジ」「エノキ」の5木とし、生物多様性ふるさと川西戦略における重要な自然保全のシンボル「川西五木」と命名しました。

ブナ

夏緑樹林はブナ、ミズナラ、トチノキ、ハリギリ、コハウチワカエデなどの夏緑樹から構成される樹林で、猪名川上流域では、かつて大野山、剣尾山、深山、高岳、天台山、妙見山などの海抜600m以上の山地に広がっていました。しかし、現在は妙見山山頂部の能勢町と川西市のみに残存しています。夏緑樹林を代表する樹林としては高木層の優占種であり、紅葉も美しい大径木のブナがあげられます。

コジイ

照葉樹林はコジイ、アラカシ、ヤブツバキ、サカキ、シキミ、アセビなどの照葉樹から構成される樹林で、川西市内では、かつて海抜600m以上の妙見山山頂を除く全域に広がっていました。現在では良好な照葉樹林は平野の多太神社だけに残されています。照葉樹林を代表する樹林としては高木層の優占種であり、大径木となるコジイがあげられます。

ユキヤナギ

猪名川上流部の鼓が滝から多田にかけては河道内に岩魂が露出し、川の流れと岩魂が一体となった美しい渓流景観が見られます。河道内の岩上にはユキヤナギ低木林が成立しています。春のやわらかな光に映えるユキヤナギの花の白さは大変美しいです。ユキヤナギ低木林の代表種としてはユキヤナギです。

シロバナウンゼンツツジ

川西市内にはかつてアカマツ林が広い面積を占めていました。そのアカマツも松枯れのために激減し、現在ではコナラ優先のアカマツーコナラ林として残存しています。アカマツ林内にはコバノミツバツツジ、モチツツジ、ヤマツツジなどのツツジ科植物が多いのですが、急傾斜な立地では時にシロバナウンゼンツツジが出現します。川西市清和台東の残存林にはこのシロバナウンゼンツツジが多く出現します。アカマツーコナラ林の代表種としては大変美しいコバノミツバツツジも良いのですが、他地域には少ないということでシロバナウンゼンツツジを代表種とします。

エノキ

攪乱(かくらん)された立地にはエノキ、ムクノキ、アキニレなどの樹木が進入し、エノキームクノキ林を形成します。エノキームクノキ林は春日神社、鴨神社、小戸神社の他、北部の山地に点在しています。エノキームクノキ林の主要構成種であるエノキにはオオムラサキ、ゴマダラチョウ、テングチョウ、ヒオドシチョウなどの蝶類やタマムシも集まります。またエノキは大径木となって目立つことからエノキームクノキ林の代表種としてはエノキです。

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