子ども・オンブズコラム平成24年6月15日号

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ページ番号1001729  更新日 平成30年3月8日 印刷 

コラム「二巡目になった川西のオンブズ」

 私はオンブズ2年目。昨年は「新米ですので」ということで、いろいろ言い訳もできたけれど、今年はもうそうはいきません。いや、それに出会ってきた子どもたちの生活の難しさ・厳しさを思うと、新米だろうとベテランだろうと、言い訳ですませられることなどありません。
 子どもの権利条約の理念のもと、「すべての子どもが人間として尊ばれる社会を実現することが子どもに対するおとなの責務である」という認識から始まった川西市のオンブズ制度は、一昨年で12年、干支(えと)で数えれば暦を一巡りし、そうして見ると、私はその二巡目の初めにここに参加させてもらったことになります。かつては「十年ひと昔」と言い、近頃は「五年ひと昔」というほどですから、ずいぶん昔の気もしますが、「すべての子どもが人間として尊ばれる社会」がまだ遠いという意味では、今もその制度の出発点と大きくは変わらないのかもしれません。
 そんなことを思って1年目を過ごして、その年度末の3月半ば、東京で開かれた「フォーラム子どもの権利研究」という集まりに川西のオンブズとして参加してきました。中心テーマは、韓国の自治体における「児童・生徒人権条例」の制定と実施についてでした。お隣の国の話でありながら我が国ではあまり知られていないようですが、「人権を基盤とした学校文化」と「児童・生徒の人権実現」をめざして、2010年に京畿道で最初に制定され、2011年には光州広域市、ソウル特別市がその後に続いて制定され、「条例に基づく校則改正」も進められています。
 その内容を見ると、驚くほど革新的で、たとえば、身近なところでは「学校は、頭髪の長さを規制してはならない」とか、あるいは「児童・生徒は、元気で、個性ある自我の形成・発達のために過度の学習負担からまぬがれ、適切な休息をとる権利を有する」などという条項もあります。韓国でこうした動きが巻き起こっている背景には、受験競争が激化して、子どもたちの生活を脅かされているというシビアな認識があったようで、それは我が国とも共通です。
 しかし、ひるがえってその我が国で、いま「子どもの権利」として何が一番意識されているかというと、どうも子どもの自己決定や意見表明の権利などでなくて、教育を受ける権利であるように見えます。これは、もちろん大事な権利なのですが、ともすると子ども自身の権利としてよりも、むしろ親に向けての学力保障として重用され、その結果として、子どもたちにとっては権利というよりも、「勉強しなきゃいけない」という義務であるかのような錯覚すら生じています。これじゃ、話がさかさまですよね。
 教育を受ける権利が、子どもたちにとって本当に権利だと言えるような教育状況を、私たちは作り出せているのかどうか。子どもの人権をめぐる韓国のダイナミックな動きを眺めながら、ついこんなふうにぼやきたくなります。いやいや、ぼやいてすむ話ではありません。
 オンブズの仕事も二巡目になって、しかし、まだまだこれからのようです。
 
執筆:代表オンブズパーソン・浜田寿美男

視察を受けました

5月18日(金曜日) 埼玉県朝霞市議会民生常任委員会


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