エンターキーを押すと、ナビゲーション部分をスキップし本文へ移動します。

現在の位置 : トップページくらしの便利帳市民活動・人権・生涯学習人権・男女共同参画川西市子どもの人権オンブズパーソン子どもオンブズ・ニュースオンブズパーソン・コラム › 平成23年12月15日号


ここから本文です。

平成23年12月15日号

更新日 平成25年7月5日ID番号 K12398印刷

コラム「そんなとこおらんと 中入り」

   この4月からオンブズパーソンの相談員になって、いろんな子どもに出会い、一緒に遊んだりおしゃべりをする中で、自分の子ども時代を思い出すことが多くありました。その中からエピソードを一つ。
 私の両親は共働きだったので、私は小学校入学と同時に一人で留守番をしなくてはならなくなりました。当時の私の放課後の流れは、まず留守家庭児童会(川西では、「留守家庭児童育成クラブ」とよばれています)に「ただいまー」と帰って、宿題をしたりおやつを食べたり、運動場で友達と遊んで過ごします。その留守家庭児童会から、家に帰るのがいつも夕方の5時、家に着くのは5時15分ぐらいだったように思います。家に帰ると自分で鍵を開けて中に入り、そこからが一人で留守番です。この一人で留守番の時間が小学校一年生の私には一日の中で一番きつい時間でした。おとなになってみると「留守番なんてたいしたことない」「一人でいられて自由でいいじゃない」と思えるのですが、一年生の私にはとてもそうは思えませんでした。誰もいないはずなのに、ちょっと物音がしたら「二階に誰かいるんじゃないか」と不安になって、でもそれを見に行く勇気がなくて、いつもテレビのある一階のリビングでじっと時間が過ぎるのを待っていました。おもしろいテレビ番組があるといいのですが、いつも必ずあるとは限りません。それでも、6時まではにぎやかな番組が多くて、なんとか気が紛れていました。それが6時になった途端、どのチャンネルもいっせいにニュースを始めるのです。子どもにとってニュースの退屈なことといったらありません。単調で静かなトーンのニュースが始まると、一人の不安がぐんぐん押し寄せて、今にも泣きたい気持ちになってしまいます。家の中に一人でいることがどうしようもなく落ち着きません。それでも私は、初めの頃、一人で何とか留守番をしていました。 
   ある日、母が約束の6時半を過ぎて、もうすぐ7時になろうとしているのに帰らないことがありました。私は不安で、前の通りまで出て、母の車を待ちました。しばらく待ってみても、母の車はなかなか見えません。そうしている間に私は、少しずつ母が帰ってくる方向に行きつ戻りつしながら歩き出しました。何かあてがあったのではなく、いてもたってもいられず歩きだしたように思います。しばらく歩いたところに、小さな駄菓子屋さんがありました。その駄菓子屋さんがあることは以前から知っていましたが、その日まで一度も入ったことがありませんでした。心細い気持ちで歩いていた私は、駄菓子屋さんの灯りの隅っこで立ち止まって母の車を待つことにしました。しばらくそこに立っていたと思います。そうやって店の軒先に立っていた私に、その店のおばちゃんが後ろから突然「そんなとこおらんと  中入り」と声をかけてくれたのです。私は予想もしないことばにびっくりして、うれしくて、なんだかほっとして、戸惑いながら駄菓子屋に入りました。もしかしたら半べそだったかもしれません。おばちゃんの店番用のイスの横に小さな丸イスを置いてもらって、そこでおばちゃんとおしゃべりをしました。さっきまでの一人ぼっちの不安がスーッと消えてなくなっていくのが自分でわかりました。誰かがそばにいてくれることがこんなにも安心だなんて。 
   それから私はおばちゃんと仲良くなって、一人の留守番が耐えられなくなったら、よくおばちゃんの横の小さな丸イスにお世話になりました。それまで話をしたこともなかったおばちゃんと、私は学校のことや友達のことなどいっぱいおしゃべりをしました。
   あのとき私を店に招き入れてくれたおばちゃん。いま振り返ると、あのおばちゃんの存在は、私にとってとても大きなものでした。一人でどうしようもないときに、そっと手を出してくれる人がいる。この出来事は、そんな人への安心感を私に与えてくれたように思います。自分の子どもの頃のことを思い出しながら、いま子ども時代を過ごしている人たちにも、こんな出会いがたくさんあればいいなと感じています。                                                                       (相談員 平野 裕子)


このページに関するお問い合わせ

子どもの人権オンブズパーソン事務局
〒666-8501 川西市中央町12番1号 市役所3階
電話:072-740-1235 ファクス:072-740-1233
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。



このページのトップへ戻る

表示 PC スマートフォン