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平成23年9月15日号

更新日 平成25年7月5日ID番号 K12058印刷

コラム「東北のこと」

   わたしは、もともと九州出身なのだが、おとなになってから3年間青森で暮らしたことがある。好奇心旺盛で、よくばりなので、なるべく人生はいろんな場所で過ごしてみたいと思っていた。青森に住む知人の先輩を訪ねた時のことも、妙に心に残っていた。新宿から夜行バスに乗り、目覚めたら一面に雪景色が見えた。朝の光に輝いて、とても美しかった。あと、ひなびた駅前温泉で、知らないおばあちゃんが「よくきた」と背中を流してくれた。なんだか懐かしい感じがした。 
   しかし、実際に暮らしてみると、考えは甘く、生活の厳しさは圧倒的だった。街育ちだったせいか、九州の温暖な気候に慣れているせいか、環境が激変し、心身ともに大パニックだったと思う。最寄りの駅には自家用車かタクシーでしか行けない、電車は一時間に一本あるかどうか。スーパーやコンビニは歩いて30分かかったし、大きな買い物は隣町のジャスコへ車で1時間かかった。車がないと生活できない。さらに、冬は大変である。スタッドレス・タイヤという雪道専用のタイヤがなくては走れない。タイヤを装着しても、凍結した道は、かなりの運転テクニックがないと、スリップが恐ろしくて緊張の連続だった。それに雪が降れば、車を出すために、雪かきをし、帰ってきて車を入れるために雪かきをする。大雪のときは、どこまでやっても雪が減らなくて、途方に暮れた。仕事時間はいつもと変わらないので、早起きして雪かきする分だけ寝不足でフラフラだった。あまりの寒さに、厚着して、暖をとっても、自分の体温がなかなか上がらなくて、びっくりした。 
  みんな、本当に、よくこんな生活してんだな。同じ日本で、ここまで違うのか。もう、九州に帰りたいよ~っと、だいぶ後悔した。でも、この土地が嫌いにはならなかった。むしろ今は、大切だって気持ちがじんわりこみあげてくる。手がかかるけど、かわいかった子どもを思い出すときのようだ。なぜそうなったのかは、いろんな理由があるけれど。 
  大きなひとつに、子どもにかかわる仕事を経験させてもらったこと。ある現場では、長い間自宅にひきこもっていた中学生をしばらく家庭訪問していた。ある大雪の日、行くかどうかだいぶ迷ったけど、ノロノロ運転でなんとかたどり着いた。すると、そこのお母さんは、こんな日も来るだろうかと玄関前を雪かきしてくれていた。ああ、しかし、あの時は迷ったけれど、本当に行ってよかったと思った。 
   お母さんひとりで、子どもたちを必死に育てて、経済的にも厳しい家庭だった。その冬は灯油やガソリンが値上がりし、追い打ちをかけていた。高校進学を希望していたが、そもそもバスで通学できる公立高校は少なく、登校日数の少ない子どもに選択肢は皆無だった。ある高校の定時制に受からなくては、進学をあきらめなくてはいけない。かといって中卒での仕事もほとんどない。迫ってくる受験に母も子も押しつぶされそうだった。私は圧倒的な現実の厳しさに、なにができるのだろうと無力さばかり募っていた。しかし子どもも母もふんばり、合格。卒業式での凛とした子どもの姿、母の笑顔はとても素敵だった。 
  今度の大震災を思うと、現地に暮らす人々のご苦労は、はかりしれない。短い期間でも東北に触れたものとして、さらにつながりを強めたいと願っている。
                                           (チーフ相談員 新林 智子) 
 


視察等を受けました

■8月19日(金)  世田谷区子ども部要支援児童担当課など 

■9月 6日(火)  渕上医療福祉専門学校社会福祉学科(3年生)研修


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