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〔子どもオンブズ・コラム平成29年10月号〕嬉しかった母の一言

更新日 平成29年11月21日ID番号 K22576印刷

嬉しかった母の一言

村上相談員に似顔絵
  似顔絵:村上相談員

 「子ども時代のことで、1番印象に残っていることは?」最近、そんな質問を受け、ふと思い出した、母とのエピソードがある。

 高校受験を控えた、中3の進路相談の時のこと。担任から将来の夢を聞かれた。私としては恥ずかしくて誰にも言えない憧れの夢はあったけれど、言えるわけもなく、なんとなくそれに近いことをこたえた。「お母さまは、どう思われていますか?」担任が母に話を向けると、「漫画家とか、いいんじゃないかなぁと思っています」。「!?」横で聞いていた私は、度肝を抜かれた。「おかん、何言ってるん!?」その後、担任がどう返したかは覚えていないけれど、とにかく母の予想外の、ヘンテコなこたえを聞いてビックリしたことだけを覚えている。
 私は、絵を描くことが苦手で、それなのに、漫画家!? 恥ずかしくて、冷や汗をかいた。そんな私にお構いなしに、母は続けた。この子は、想像力豊かなので、そういうところを生かせる仕事に就けたらいいと思う、と。担任も、母の勢いに押されて、なぜか賛同していた。
 私は、平々凡々に育ち、勉強もそこそこ。好きな教科は頑張るけれど、嫌いな教科はついつい後回しの悪循環。勉強の意味も、将来の見通しも曖昧で、それよりは交友関係に神経を使い、そして日々の活動に追われていた。夏休みの課題も、前日に大わらわで、学校や塾で出されている課題を早く済ませろと言う母と、漫画を読み続けたい私で、夜な夜なの攻防が続いていた。進路の話が本格的に出始めた頃には、目標にしていた進学先もちょっと厳しくなってきていた。
 ボーッとしていて空想好きだけれど、そして漫画を読むのはハマっていたけれど、画力はなく、ましてや自分自身、漫画家になりたいなんて、露ほども思っていなかった。それなのに、かなり緊張する進路相談の場面で、母がヘンテコなこたえをして、恥ずかしく、ちょっと腹も立った。だけど、どこかホッとして嬉しかったように思う。母は、私がそんなに勉強を得意としていないことを分かっていたのだと思う。そしてなんとか、この子の持ち味を伸ばしていってほしいと思ってくれていたのだろう。
 受験が近づいてピリピリしている頃、そして勉強で今後の優劣がつくような雰囲気を感じて、目に見えないプレッシャーを感じていた私は、今振り返って思うと、その一件以来、どこか肩の荷が下りたように感じる。「勉強は、ひとつの尺度。勉強だけですべての優劣がつくわけではない。自分の持ち味を大切にしたらいい」。それはとても心強いメッセージだった。
 元来のんびり屋の私は、その後ものんびり伸びやかに過ごし、自分の興味のある方にある方にと、さまざまなことにトライしていった。その過程で、たくさんの面白く貴重な出会いをして、そして、世の中には本当に色々な価値観があって、色々なかたちで暮らしている人がいるということに気づいた。だからこそ、社会は豊かで面白いのだと思う。そして、そういう出会いを通して、自分の大切にしているもの、進みたい方向性に気づかされていくのだと思う。一つの価値観や一つの尺度だけで、もし測られてしまっていたら、私はその醍醐味に気づけなかっただろう。
 だからこそ私は、色んな個性をもつ子どもたちが、多様な価値観に育まれ、健やかに成長していくことを願ってやまない。

執筆:相談員・村上裕子(むーやん)


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