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〔子どもオンブズ・コラム平成29年7月〕子どもの権利と「子どもの時間」

更新日 平成29年7月19日ID番号 K22228印刷

子どもの権利と「子どもの時間」

大倉オンブズの似顔絵
  大倉オンブズパーソン

 私はふだん、保育の場で子どもたちが育っていく過程について研究をしています。その中で、実際にあったエピソードを保育者に書いてもらい、子どもにどのように関わっていったら良いのかを一緒に考えていくという作業もしています。
 保育のエピソードには、子どもの権利について考えさせられるものがよくあります。例えば、次のようなエピソード。

 給食の時間が近づき、保育者のN先生が一人ひとりの子に「そろそろお片付けしようか」と声をかけていく。ほとんどの子どもが部屋に戻ったが、U君だけは「いや!」と言って、近くにあったバケツで遊び始めた。
 バケツの中には水の入ったビニール袋が入っており、U君はそれを押さえつけたりしていたが、突然“ピューッ”と水が飛び出した。その瞬間、U君はとても驚いた顔をし、それからいかにも面白いことを発見したという嬉しそうな表情で、何度も水を飛ばして遊ぶということを生き生きと繰り返した。
 N先生はその間、声をかけず、U君が自分の世界でどっぶり遊び込んでいるのを見守っていた。やがて、ひとしきりU君が遊び終わった頃合いを見計らって、N先生が「U君、もうみんなお部屋に入ったよ。U君もそろそろ入ろうか」と誘うと、U君は「うん。せんせい好き!」と言いながら、自分でパッと入室していった。
 (鯨岡峻『保育の場で子どもの心をどのように育むのか』ミネルヴァ書房より。一部改)

 みなさんは、この場面についてどのように思われるでしょうか。他の子たちがみんな部屋に戻ったのに、一人遊び続けるU君に対して「協調性がない子だ」と思う方もいるかもしれません。実際、こうした場面で「集団規律」や「ルール」を身に付けさせようと、早く部屋に戻りなさいと強く働きかける保育者もいます。
 しかし、ここでのN先生の対応は少し違っています。保育者として早く部屋に入ってほしいという思いはあったと思いますが、そうした思いを一旦棚上げして、U君の「もうちょっと遊びたい」という気持ちをまずは尊重します。すると、U君はビニール袋を押さえると水が飛び出すという面白い現象を発見し、しばらくそれで遊び込むのです。そして、ひとしきり夢中になって遊んだ後で、再度入室をうながされると、今度はたっぷり遊べたという満足感があったからでしょう、自分からパッと部屋に戻っていきます。最後の「せんせい好き!」は、N先生が自分の大切なひとときを大事にしてくれたという思いから出た言葉のように見えます。
 大人は子どもに対して「次は〇〇、その次は△△をさせなきゃ」という思いから、しばしば焦った関わりをしてしまいがちです。ですが、そうした「スケジュール」は、あくまで「大人の時間」に沿ったもの。「子どもの時間」はそれとは違って、もう少しゆったりと流れています。「早く〇〇しなさい!」とイライラした言葉をかける前に、一旦「子どもの時間」を感じてみて、「今、子どもは何を楽しんでいるのだろう」「どこで声をかけたら、子どもにとって区切りがいいのだろう」と考えてみると良いかもしれません。
 U君がすばらしい発見をし(ビニール袋から水が飛び出すという現象は、子どもにとって「水圧」や「水鉄砲の原理」を理解するための貴重な教材です)、「せんせい好き!」という気持ちになったように、「子どもの時間」を大切にすることで、子どもの想像力や知的好奇心、他者に対する信頼感がぐんと深まっていく機会が増えるのではないでしょうか。
 子どもの権利条約にも謳われているように、子どもは自分でものを考え、自分らしく育つ権利を持っています。「子どもの時間」を尊重するということは、子どもの権利を大切にするということの第一歩なのかもしれません。

                                (オンブズパーソン:大倉 得史/おおくら とくし)
 


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