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〔子どもオンブズ・コラム 平成27年5月号〕子どもの親離れ、親の子離れ

更新日 平成29年11月17日ID番号 K18443印刷

子どもの親離れ、親の子離れ

浜田オンブズの似顔絵
似顔絵:浜田オンブズパーソン

「親子でいっしょ!」と聞いて
 「親子でいっしょ!」と聞いて、もう70歳も近い私が思い出すのは、親子で一緒に田畑を耕し、山に出かけて木を伐り出した、私の子ども時代の記憶です。いまからもう50年以上も前のことですが、それは、言ってみれば私にとって原風景。しかし、いまではそうした親子の情景を身の回りで見ることがありません。いや、身の回りに限らず、日本中どこに行っても、子どもが親と一緒に働く姿を目にすることはなくなってしまいました。
 時代はすっかり変わったんですね。いまは「親子でいっしょ!」という話題で、親が子どもといつまで一緒のお布団で寝ていいのか、いつまで一緒にお風呂に入っていいのか、親がいつまで子どもの身の回りの世話をしていいのか……というようなことが議論される。親子は一緒に働く仲間ではなく、親はもっぱら子どもを守り、子どもはもっぱら親から守られる。それが前提で話が進んでいるように見えます。でも、私のなかにはそもそもこの前提が曲者ではないかという思いがあります。
 考えてみると、子どもが親からもっぱら守られる存在になって、親と一緒に働くことがなくなったのは、それこそここ50年のことで、それ以前の何千年、何万年、人類が人類として生きてきた歴史のほとんどは、子どもはけっして守られっぱなしではなくて、子どももまた子どもなりの力を使って生活の一端を担い、そのことを通して育ち、おとなになっていったはず。それは私のような田舎の子どもも、街の子どもも同じでした。私にはむしろこのことが育ちの大前提ではないかという思いが強いのです。

守られているはずの子どもがはみ出して
 いまの時代、親からしっかり守られて、いろんなことを「親子でいっしょ」に楽しみ、こころ健やかに育つ子どもたちも、もちろん、たくさんいます。経済的に安定した裕福な家庭に生まれ育ち、そのなかで温かく守られ、いろんな能力にも恵まれて、「なんで勉強しなければいけないの?」なんて言って、学ぶことの意味に迷ったりすることもなく、学校で求められる力や知識を身につけることに邁進できる。そんな子どもたちにとっては、いまは生きやすい時代なのかもしれません。でも、そうした子どもたちばかりではありません。
 一方では、子どもは守られるべきだとの社会意識にさらされつつ、経済的あるいは精神的な余裕を失って、子どもを守りきれなくなっている家族が少なくないのです。そんななかで、やがて子どもたちが放置され、虐げられ、子ども自身が能力的に恵まれなければ、学校でも学ぶことの意味を見出せないままに、そこからはみ出していく。それでいて子どもたちはみな一様に消費経済の波に飲み込まれ、しじゅう欲望をくすぐられ、はみ出したものどうしでつるんで、周囲のおとながハラハラするような危うい生活を送るようになってしまう。そんな子どもたちにしばしば出会います。
 守られているはずの子どもが、親子の絆もしっかり結べないままにはみ出していく。そんな親離れ、子離れの姿を見ていると、暗たんたる思いに駆られてしまいます。

「親子でいっしょ」にすること
 もうこの年齢になれば「親子でいっしょ」はおかしくない?という話はともかくとして、これくらいの年齢になれば「親子でいっしょ」にこれをしたらどう?という話を、少していねいにやっていく必要があるように、私には思えます。親として守ってばかりいたと思っていた子どもが、ちょっとした気遣いを親にしてくれるようになったとき、心底「大きくなったな」と思えるもの。親の子離れの出発点がそこにあるとすれば、そのちょっとした気遣いを親が喜んでくれるというのが、子どもの側の親離れの出発点かもしれません。
 農繁期に連日の厳しい労働がつづくと、身体の弱かった私の母は、しばらくすると決まって床に臥せる日がありました。そんなとき子どもたちがなんとか代わりにがんばる。すると、母が「助かったな」と言ってくれる。守られてばかりいるように見える子どもが、ちょっとだけ守る側に回る。それだけで大きくなったように思えるもの。それは親から離れることのない「親離れ」です。そんな親離れの機会をしっかり生活のなかに組み込めないものだろうかと思うのです。
 別に大仰なことを考えているわけではありません。晩御飯のための買い物を子どもに任せたとき、子どもがあれこれ考えて安い買い物をし、余ったお金で酒の肴を一品でも買ってくれれば、それだけでうれしい。そんな「いっしょ」なら、いまどんな家族でも出来そうに思うのですが。
 (雑誌『おそい・はやい・ひくい・たかい』ジャパンマシニスト社、82号、2014年より転載しました)

執筆:代表オンブズパーソン・浜田寿美男(はまだすみお)
 


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